カタルシスの妙薬

日々の生活の中で無意識のうちに蓄積されるストレス、疲労、イライラ・・・。皆さんは心がささくれ立った時、どのように解消されているだろうか。好きなアーティストの音楽を聴いたり、本を読んだり、絵画を見たり、映画を鑑賞したり、様々な方法で対処されていることと思う。僕はどうかというと、ギターを弾いたり、映画を鑑賞したりしてるかな。パコ・デ・ルシアのギターも最高にクールだ。

僕には折に触れて観る大切な映画がある。それはスペインのVictor Erice (ビクトル・エリセW)監督の「El Espiritu de la colmena」(邦題:ミツバチのささやき)という映画だ。1973年の映画だから結構古い。当時はこのオイラもまだ7歳。この映画の子役で主役のアナ役を演じたAna Torrent (アナ・トレントW)は一つ下の6歳。

映画の存在を知ったのは日本で初公開された1985年、大学2年の時だ。当時、ギターのサークルに所属しており、フラメンコ・ギターを始めたこともあり最もスペインに対しての興味が強かった時期だったので、スペイン映画と聞いて観に行ったのであった。

実を言うと、初見では台詞の少なさと淡々とした感じに馴染めず、恥ずかしい話だが???だった。絵画のような映像美には心を奪われたが、それっきり忘れてしまったのだった。

しかし、数年前突然この映画のことが気になってしまいDVDになっていないか調べた。東北新社というところから2000年にリリースされていたらしいが、既に廃盤[1]となって久しい状態。ヤフオクでは信じられない位のプレミア価格になっておりとてもじゃないが手が出ない。そこでアメリカ・クライテリオン盤を海外のサイトで購入した。当然ながら英語字幕。幸い、もともとこの映画の台詞は極端に少ないので余り問題は無かった。

久しぶりに観たこの映画。初見の時の???な思いは何だったのだろう。僕ははあの時一体何を観ていたのだろうか。余りの素晴らしさに言葉が出なかった。未見の方のためにストーリーは書かないが、「映画史上希に見る映像詩」と言えようか。とにかくこれ程シンプルでパーフェクトな映画はそうそうあるものではない。特にアナ・トレントの存在は「映画子役史上最強」という括りが陳腐に思えてしまうほどの神懸かりようだ。

舞台は1940年のスペインの小さな村。この映画の裏にはフランコ政権Wへの痛烈な批判」が含まれているのだが、現実、幻想、虚構が入り乱れた抒情的な詩編として観る者をカタルシスに誘うパワーがある。と、個人的には感じている。観るたびにごとに新たな発見、驚き、感動を喚起させるまさに至高の作品だ。

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  1. 2008年12月、紀伊國屋書店からもう一つの名作「El Sur(エル・スール)」とデビュー作で日本初発売となる「Los Desafios(挑戦)」も含まれたDVD-Boxが発売された。もちろん、日本語字幕付。 [戻る]
  1. こんばんは。
    ビクトル・エリセは「静謐」という言葉がぴったりな監督さんですね。
    私はもうひとつの「エル・スール」が大好きなのですが、以前にも語り合いましたね。
    私の中にもあるエル・スール=南=アンダルシアへの憧れもこめて。
    私はこの映画を愛しています。
    スペインは詩が散りばめられたようなところですよ。
    ぜひ一度行って、大地を踏みしめ、風の鳴る音を聴きながら、ミツバチの世界を感じて下さい。
    胸の中の塊がさらさらと溶けていきますよ。
    聖地・アルヘシラスへも。いつか。

    • Luzia
    • 2009年 7月 28日

    @Angelitaさん
    確かに「静謐」はぴったりきますね。映像は雄弁なのに観ている者にはひたすら寡黙な印象を与える感じもします。「ミツバチのささやき」で一番好きなシーンは、冒頭近くの映画を観るシーンで、画面を食い入るように観ているアナが、フランケンシュタインが画面に出てきた時に見せる表情かな。もうあれは演技じゃないです。あのシーンだけで飯が三杯食えます(笑)

    「エル・スール」もたまりませんね。音楽にエンリケ・グラナドス、フランツ・シューベルト、モーリス・ラヴェルがさりげなく使用されているのも嬉しい。

    あぁ、アンダルシアのだだっ広い平原をぶらぶら歩いてみたいわ。

  2. 今日は映画観ましたか?
    そうそうエルスールは音楽がよいですね。
    グラナドスのスペイン舞曲、5番とあと11番だったかな?
    雪が降っている場面で流れるのが切なかったなぁ。

    Luziaさんは去年の秋ごろ(?)やっていた「落下の王国」は観ませんでしたか?
    主役の5歳の女の子カティンカちゃんの演技が凄すぎでした。
    ミツバチを思い出しましたっけ。映画の方は好き嫌いがあると思うけれど、
    彼女の演技もそれこそ、ごはん3杯食べられそうでしたよ!

    • Luzia
    • 2009年 7月 28日

    @Angelitaさん
    今日は結局観たい映画がなくて秋葉原近辺をぶらぶらと散策しておりました。

    グラナドスはスペイン舞曲第2番「オリエンタル」、第5番「アンダルーサ」でございます。どちらもピアノ作品ですが、ギターでも良く演奏されますね。

    「落下の王国」は残念ながら観ていません。DVDが出ているようなので、今度借りてきてみます。

  3. Luziaさん
    ああ、そうでした。オリエンタルは2番でしたね。
    いい加減な記憶力(^^;)
    友達と二重奏したのに忘れてました。11番はサンブラだったかな?
    アンダルーサは有名ですもんね。

    「落下の王国」ぜひご覧下さいませ。
    私は1回目は気に入らなかったんだけど(笑)2回目で気に入りました。
    カティンカちゃんが恋をする青年リー・ペイスのお話を語る声も魅力的です。

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