日本発の傑作ファンタジー:獣の奏者

僕は小説、映画などで所謂「ファンタジー」と呼ばれるものを敬遠してしまう (好みの問題)のですが、上橋菜穂子Wさんの小説「獣の奏者」は読了後、「この小説に出会えて本当に良かった!」と心の底から思いました。最初、書店でこの本を手に取った時に本の帯にファンタジーの文字を見出し、不敬ながら「う~ん、ファンタジーかぁ・・・」とそれだけの理由でいったんは書架に戻してしまったのですが、なぜか「獣の奏者」というタイトルが妙に気になってしまい結局購入。ところが読み始めると主人公「エリン」、聖なる獣 (王獣)「リラン」を中心に、人と獣という永遠の他者どうしの触れ合いによって予想だにしない争いに巻き込まれていくという重厚でドラマチックなストーリーにあっという間に引き込まれてしまったのでした。

この作品は海外のファンタジーのように不思議な魔法が出てきたり、派手な展開があるわけではなく、まるで重厚な歴史大河小説を読んでいるかのような感覚に近いです。でもジャンルで括ろうとすればやっぱり「ファンタジー」に間違いない。上橋さんの類稀な筆力にはただただ脱帽するばかりです。

作品自体はI 「闘蛇編」、II 「王獣編」で完結しているのですが、続編を望む声が高く、III 「探求編」、IV 「完結編」がこの8月に上梓されて本当の意味で完結しました。こちらも読了しましたが、やっぱり素晴らしかった。

僕のように普段ファンタジーを敬遠されている方、もしくは「ファンタジーなんか大嫌いだっ!」という方に特にお勧めしたいです。

また、青い鳥文庫から子供向けにルビが振られた版 (闘蛇編と王獣編をそれぞれ分冊にして全4巻で刊行)も出版されています。シリウスKC (講談社)からはコミックス版も出版されています。さらに現在、NHKでアニメーション化され「獣の奏者エリン」というタイトルで放映されています。

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