島の小エビ

「Camarón de la isla (1950-1992)[1]を知ってるかい?」と問われたら、フラメンコ・ファンの方ならまず100%知っているでしょうけど、一般の方はまずご存じないと思います。彼ほどのcantaor[2]はまず今後出てこないと思う。まさに不世出のアーティストでした。

彼は8歳頃からもう街中で歌い始め、16歳の時にはマイレナ・デ・アルコルのカンテ・ホンド・フェスティバルで優勝した天才です。そして、パコ・デ・ルシアとの出会いは後に「フラメンコ史上最も幸福な出会い」と評されたように、この二人の出会いによってフラメンコは新しい世界が開花し、よりグローバルな芸術に昇華した言っても過言ではないでしょう。

パコ・デ・ルシアが今日あるのもカマロンのお陰かもしれません。1968年から1977年までの間に、この最強コンビによるアルバムが10枚製作されました。カマロンの伴奏をするためにパコは当然その度に新しいファルセータを作らなければならないわけで、その結果、斬新なスタイルを確立することが出来たからです。(実際にカマロンの伴奏で使用されたファルセータが、パコのソロのアルバムで必ずと言っていいほど使用されています)

パコ・デ・ルシアはその後、世界中でツアーをするようになりましたが、カマロンはほとんどスペインを中心に演奏活動を行いました。また、彼はフラメンコ以外の音楽はあまり聴かなかったようです。

ローリング・ストーンズのミック・ジャガーが実はカマロンのファンらしく、ある時インタビュアーにそのことを聞かされたカマロンは「それは誰?」と聞いたという逸話があるくらいです。また、カマロンはスペインでは大スター (日本の歌手に例えれば美空ひばりさんクラスかもしれません)でしたが、「どこそこの町に凄いカンテを歌うお婆ちゃんがいるぜ」という噂を聞くと、自分で車を運転して、その無名の媼に会いに行くという根っからのフラメンコ人でした。

年輪を重ねて円熟した彼の歌声を聴きたかった方も多かったでしょう。でも彼は1992年7月、42歳という若さで逝ってしまった。肺癌でした。その葬儀には10万人以上の人々が訪れたという。そう、彼は紛う事無きスペインの「至宝」だったのです。

ブレリアを演奏するカマロンとパコ。二人とも若い!

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アレグリアスを演奏するカマロンとトマティート。亡くなる2年前 (1990年)、スペインのマラガでのコンサートより。

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タランタを演奏するカマロンとビセンテ・アミーゴ。恐らく晩年の頃の演奏でしょう。

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  1. 通称カマロン、タイトルの「島の小エビ」はカマロン・デ・ラ・イスラを直訳したもの。本名Jose Monje Cruz [戻る]
  2. カンタオール、フラメンコの歌い手 [戻る]
  1. カマロン・デ・ラ・イスラ・・伝説のカンタオールですね。
    パコと同じ、フラメンコ界のカリスマ。でも本人はそんなことよりも純粋にフラメンコだったのでしょうね。
    (トマティート若い!)

    ビセンテが若い頃のインタビューで始めてカマロンの共演した時のことを語っていました。
    「ホセ(カマロン)が語句の詞を歌うというのは昔からの夢だった。その夢がかなうなんて。彼が歌っているのを聴いた時うれしくて涙がでました。僕にとってカマロンはあらゆる意味でとてつもない存在なんだ。心を豊かにしてくれます。彼は僕にとっては王様みたいな人なんです。」・・と。
    ビセンテにとってパコは神様で、カマロンは王様なのだそうです。

    去年こんな映画をみました。
    カマロンへのオマージュのような切ない映画でした。
    http://blog.goo.ne.jp/angelita-4/e/c6876227bdc28e0b59d869a9fca9903d

  2. 変換ミス!です。すみません。
    「ホセ(カマロン)が語句の詞を歌うというのは昔からの夢だった。・・
    じゃなくて「ホセ(カマロン)が僕の詞を歌う・・ですね。失礼しました。

    • Luzia
    • 2009年 8月 30日

    @Angelitaさん
    カマロンのカンテ、ガデスのバイレ、パコのトーケが実現していたら凄かっただろうなぁ・・・。いや、僕が知らないだけでこの三位一体での演奏って実現していたのかなぁ。

    ビセンテにとってカマロンとの競演は間違いなく演奏キャリアに重要な足跡を残したでしょうね。カマロンとビセンテの競演の動画を追加しました。ブレリアもあったのですが、タランタにしました。

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