変則チューニングの妙

ギターという楽器は本当にダメな楽器だっ!ダメダメやっ!音は小さいし、チューニングは合わんし、演奏は難しいしっ!もう嫌っ!と言いつつギターはやめられない止まらない。本当はそのダメダメなところがラヴリーなんだもん。でも、他の楽器と比べてギターが難しいのはキーの選択なのね。ギターは特に♭系が弱い。♭3つになるともうかなり苦しい。アレンジをしようと思うと、必然的に移調を考えてしまうのである。

でも、ちょっとした変則チューニングを使うことで今まで無理と思っていたキーでも演奏出来ることがありんす。オイラが好きなギタリストの中でそれを証明しているのは、Roland Dyens (ローラン・ディアンス)ですな。彼はクラシック・ギタリストであるけれど作曲家、アレンジャーとしても非凡な才能を持つギタリストでっす。オリジナル作品も素晴らしいけど、特にオイラは彼のアレンジセンスにベタ惚れっす。

彼はこれまでにフランスのシャンソン、タンゴ、ジャズ、ボサノバの曲なんかをたくさんアレンジしちょりますが、そのどれもがセンスが良く、可能な限り原調でアレンジしておる。結果、難しいアレンジになるわけですけんど、絶対無理っていう感じでもない。そしてその場合、必要があれば変則チューニングを積極的に使用しているんだな。膨大なアレンジの中から4曲をセレクトしてみたよ。

ショパンのワルツ アルフォンシーナと海 愛の讃歌 ラウンド・ミッドナイト

どうすかっ?いずれも6弦、または6弦と5弦を半音か全音に低く (もしくは高く)変更しているだけしょ。例えば、4曲目の「ラウンド・ミッドナイト」なんか♭6個という通常ギターでは考えられないキーにもかかわらず割りと簡単に弾けてしまいよる。素晴らしい。

ちょっとしたアイデアで不可能と思っていたことが可能になるんだね。オイラも頑張ろう。

上記写真の「ショパン/ワルツOp.69-2」を演奏するローラン・ディアンス

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上記写真の「アリエル・ラミレス/アルフォンシーナと海」を演奏するローラン・ディアンス

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    • トカチ
    • 2016年 12月 17日

    初めてコメントします。コユンババの調弦の方法を教えて下さい。調弦した後譜面の読み方、弾く方法。この曲のタブ譜に変換があるのか? 特殊な演奏の仕方等々お知らせください。

    • Luzia
    • 2016年 12月 18日

    @トカチ様
    コメントをいただきありがとうございまっす。

    ドメニコーニの“コユンババ”の楽譜は初めて見ますと面食らってしまいますね。以前、「タブ譜は嫌いだけど・・・」というタイトルでこの件について書きましたが(ここ)、こちらでも簡単にご説明いたしまっす。

    まず、楽譜冒頭部分をご覧ください。

    domeniconi1.jpg

    上段に“REAL”、下段に“SCORDATURA”と書かれていまっす。前者は“実音”、後者は“チューニング”を意味しているのですが、まずチューニングを6弦=D(1音下げ)、5弦=A(そのまま)、4弦=D(そのまま)、3弦=A(1音上げ)、2弦=D(2音上げ)、1弦=F(1音上げ)にします。このチューニングにして6弦~1弦を開放弦で鳴らしますと“Dm”のコードが鳴ります。いわゆる、オープンチューニングですね。この曲の場合は“オープンDmチューニング”というものになります。

    しかし!実際にこのチューニングを試みようと思いますと、特に1弦をFまで上げるのはかなり怖いでっす・・・。弦が切れるということはないと思うのですが、かなり抵抗感があります・・・。弦のテンションもかなり強くなってしまいますし・・・。

    ドメニコーニさんもそう思ったようで、楽譜の巻末に実際はこのチューニングにしてちょうだいと指示されておりまっす。

    domeniconi2.jpg

    6弦=C♯(1音半下げ)、5弦=G♯(半音下げ)、4弦=C♯(半音下げ)、3弦=G♯(半音上げ)、2弦=C♯(1音上げ)、1弦=E(そのまま)とします。1弦がEのままなので、ちょっとホッとします。2弦を1音上げにしなければなりませんが、これは弦が切れることはまずありません。

    つまり、前述の“オープンDmチューニング”よりも半音低い“オープンC♯m”チューニングになります。

    さて、実際の演奏はどうすればよいのでしょうか?これだけチューニングが変わってしまいますと、楽譜上段(実音譜)を読むのはかなり大変です・・・。こういった変則チューニング作品は通常、“タブ譜”を併記するのが一般的なのですが、多分、ドメニコーニさんはタブ譜を使いたくなかったのだと思います。

    ワタクシもそうですが、五線譜を読むことに慣れている方にとってタブ譜は曲のイメージが掴みづらいという短所があります。まぁ、慣れだとは思うのですが・・・。

    前置きが長くなってしまいました・・・。さて、取りあえずギターを“オープンC♯mチューニング”にして下さい。そして、実際に楽譜を見て演奏する時は楽譜上段(実音譜)は無視して、下段の譜面を読みます。

    実際はチューニングが“オープンC♯mチューニング”になっているのですが、“6弦だけをD”に落としたチューニングにしたギター(このチューニングはしょっちゅう出て来るので皆様慣れていらっしゃると思います)だと仮定して(思い込んで)下段の譜面を演奏しますと、ちゃんと実音が鳴りまっす。

    ワタクシはこの方式を勝手に“五線譜によるタブ譜”と呼んでいます。とは言っても、ワタクシが知る限り“コユンババ”でしか見たことが無いのですが・・・。

    この作品には特に特殊な演奏法は用いられていませんが、第4楽章プレストの後半に出てくるパッセージは演奏者によって弾き方が違うようです。

    domeniconi3.jpg

    楽譜には“rasugueado(ラスゲアード)”の指定がされています。いわゆる、弦を掻き鳴らす奏法ですね。指使いが書かれていませんが、ワタクシでしたらa指(小指) → m指 (中指) →i指 (人差し指)の順番で爪の表面全体を使って弦を擦るようにラスゲアードして弾きます。(すべてダウン・ストロークです)6弦&5弦は7フレットのナチュラル・ハーモニクスです。途中、実音のメロディーが入ってきますが、ここはa指(小指)で4弦までラスゲアードしまっす。(もちろん、ダウン・ストロークです)

    ただ、フラメンコ・ギターを演奏する方でしたら、このような連続したラスゲアードは何の苦もなく演奏出来ますが、クラシック・ギターではあまり出てこないラスゲアードなので上手く演奏出来ない方もいらっしゃるかもしれません。

    ドメニコーニさん自身の演奏を観ますと、おそらく指使いはp指(親指のアップ・ストローク)→ m指 (ダウン・ストローク)、i指 (ダウン・ストローク)で演奏しているかと・・・。

    アメリカのウィリアム・カネンガイザーさんは、よりフラメンコ・ギター的なi指(ダウン・ストローク)→ i指(アップ・ストローク)→ a指 (ダウン・ストローク)で演奏しているようです。

    巨匠、ジョン・ウィリアムスはi指(ダウン・ストローク)→ m指 (アップ・ストローク)→ i指(アップ・ストローク)で恐らく弾いています。

    ラスゲアードがどうしてもダメダメでしたら、a指 → m指 → i指と通常の弾弦でトレモロのように弾くのもありかと思います。Jonas Lefvertという方の演奏はトレモロ風でっす。

    以上、ご参考いただけましたら幸甚でございます。

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