真の天才

「この世で一番巧いギタリストは誰?」と聞かれたら、オイラは即座に「クラシック・ギタリストの山下和仁Wさん」と答えるだろう。山下さんのこれまでの偉大な業績についてはWikiを参照して下され。ご覧になった方はさぞビックリなされたでしょう。まだ50歳にもならない方ですが、既に通常のギタリストの一生分以上の仕事をされてますよね。もうここまでくると人間業とは思えない・・・。

最近は「天才」という言葉を安易に使いすぎる傾向にあると思うのはオイラだけだろうか。曰く「若手天才ギタリスト~」、曰く「若手天才ピアニスト~」、曰く「若手天才ヴァイオリニスト~」などなど。でもね、真の天才っていうのは滅多にいるもんじゃないっすよ。

山下さんの名が世界的に知られるきっかけになったのは、1981年に発表された「ムソルグスキー/展覧会の絵:全曲」をギター1本で演奏したレコードであろうことは疑いない。これはクラシック・ギター界のみならず、世界の音楽界を震撼させた事件だった。普通ギター1本でこの曲を演奏しようとは思いませんよね。それが「ギターでもこれだけのことが出来ました」というレベルではなく、原曲のピアノによる演奏や有名なJoseph-Maurice Ravel (モーリス・ラヴェルW)による管弦楽編曲による演奏と比肩し得る演奏だったからこそ世界中が驚嘆したのだ。

これ以後、山下さんは同様の仕事をいくつもされてきましたが (そのどれもが非常に高度で、他の誰も真似できない境地に達してしまった)、個人的には「展覧会の絵」が一番好き。

20年以上前、幸運にもオイラはこの「展覧会の絵」とIgor Fyodorovitch Stravinsky (イーゴリ・ストラヴィンスキーW)の「火の鳥」の演奏を一夜で聴く機会を得たことがあるんですが、目の前で起きている出来事が俄かには信じられず、もちろん大感動したのだが、同時に恐怖感も感じてしまった。だってとても同じ人間が弾いていると思えないんだもん。

山下さんのアレンジによる「展覧会の絵」の楽譜をお持ちで、一度でもチャレンジされたことがある方はオイラの気持ちがわかると思う。正直言って弾けない・・・。ってゆーか、なんで弾けるのさっ!っちゅうくらいの超難曲だもの。それを実に易々と弾いてしまうんだから恐怖を覚えるのも無理ないっしょ。ギターの心得がある方は下の楽譜をちょっと弾いてみなさんし。

プロムナード バーバ・ヤーガの小屋 キエフの大門1 キエフの大門2

怪我されませんでしたか?

1984年6月29日、カナダのトロント国際ギターフェスティバルに招待され、フェスティバルのトリを務めた演奏はもはや伝説になっています。その時のプログラムは、「ソル/魔笛の主題による変奏曲Op.9」、「J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番 BWV1004よりシャコンヌ」、「武満徹/フォリオス」、「ブリテン/ノクターナルOp.70」、「ムソルグスキー/展覧会の絵:全曲」という超ヘビーなものでした。

前述のトロント国際ギターフェスティバルで演奏された、ムソルグスキーの「展覧会の絵:全曲」から「バーバ・ヤーガの小屋」と終曲「キエフの大門」をとくとご覧あれ。

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全曲演奏版。

同フェスティバルでのアンコール演奏。曲は「ヘロニモ・ヒメネス~山下・編/アロンソの結婚~間奏曲」です。重量級のプログラムをこなした後にこのヴォルテージ・・・。土下寝ります____○_

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2000年5月20日、東京文化会館 小ホールでのリサイタルでの映像です。曲はMario Castelnuovo-Tedesco(マリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコW)の名作“Capriccio Diabolico(邦題:悪魔の奇想曲) ”です。クラシック・ギターの世界では有名なコンサートピースです。山下さんは楽々演奏していますが、かなりの難曲でございます。

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仕事柄、何度か山下さんにはお目にかかったことがあります。初めてのギター小品集「鳥の歌」を録音する際にうちのお店に来られた時が最初だったかな。めっちゃ緊張してしもた・・・。たくさんの楽譜を購入され、結果的にほとんど録音されていました。また、そのお人柄も温厚で思わず土下寝してしまうほど腰が低い方です。

最近は海外での演奏活動が多く、特に若い世代にとっては山下さんの実演に接する機会がなかなか無いのが現状です。是非、日本での演奏も増やして欲しいなぁ。

伝説はここから始まった。全人類的お宝必聴盤

展覧会の絵&火の鳥

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アーティスト山下和仁

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山下さんの現在でも入手可能な映像作品。

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出演者山下和仁

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    • 2009年 8月 16日

    こんばんは。
    今日は、イケメンとお酒を少々?たしなんでまいりました。ご機嫌です。その勢いでコメント送信しちゃいます。
    山下さん!
    若かりし山下さんの演奏を某T市で聞いたことがあります。
    演奏終了後、深々と頭を下げ、本当に彼の人柄がしのばれました。
    なりやまない拍手の中、アンコールを5曲ほど、通常では考えられない曲数を弾いてくださいました。田舎の町では、平気のへいざで、こんな常識外れの拍手をするのです。拍手が手拍子になり、「アンコール!」なんてかけ声になっちゃったりするのです。
    先日、ウィーン少年合唱団でも、おじいちゃん、おばあちゃんが地域の集まりで老人会みたいに聞きにきていて、おそらく彼らは単なる珍しい外国人の子供の発表会くらいにしか思っていなくて、孫の発表会でも応援するように、静かに聞き入る場面でも平気で拍手や手拍子して、本当にむかつきましたが,,,,音楽は楽しめばいいので、それはそれでいいのですが。。。。一応ね・・・・。奏者に申し訳ない気持ちになりました。あ、脱線しました。とにかく山下さんは素晴らしいということに同感です。
    ただ、私の尊敬する、師匠であり私の人格形成上最も影響している教祖であるF先生は、残念ながら、彼を認める発言がないのですよ・・・これは非常に悲しいのですが、、、Luziaさま、ごめんなさい。
    最後の締めがよくないですね。。。すみません、イケメンに酔っちゃったみたいですね。悪しからず。

  1. 山下さんの演奏は私も一回聴いたことがありました。
    どこのオーケストラか忘れちゃいましたが、アランフェスを・・・。
    今まで何人か聴きましたが、とても緻密な演奏だった記憶があります。

    山下さんは独特のフォームですよね。でも目がすごい・・といつも思います。

    彼の誕生日はなんと3月25日。ビセンテと同じ日・・・。
    天才が生まれる日なんでしょうか??

    • Luzia
    • 2009年 8月 16日

    @Mさん
    いいなぁ、イケメンとお酒っすか (謎)オイラはダメンズかつダメおやじなので・・・。

    >F先生は、残念ながら、彼を認める発言がない
    当然、人それぞれに好みや考え方がありますのでアンチ批判があって然るべきです。僕は山下さんの演奏は全面的に好きですが、???と思うこともありますしね。でも、無個性な演奏家 (特にギタリスト)が多い中で、強烈な個性を持っている山下さんはやっぱり目が離せないギタリストです。

    • Luzia
    • 2009年 8月 16日

    @Angelitaさん
    山下さんの集中力って凄いですよ。常人離れしています。

    以前、うちのお店のスタジオで某チェンバリスト (外国の方)の方と練習に来られたことがあるんですが、その日にアンコール曲を決められました。チェンバリストの奥様に山下さん用の楽譜のコピーを頼まれてお渡しすると、山下さんはまず初見で完璧に演奏して、2回目の合わせの時にはもう楽譜を見ずに演奏していました。ものすごい集中力かつ記憶力に目が点になってしまいました。

    ビセンテと山下さんは同じ誕生日か・・・。オイラもこの日に生まれたかったな。ってゆーか、うちの母親も3月25日生まれじゃないかいっ!ちなみに母親は天才ではござらぬ・・・。

  2. Luziaさん
    なんと奇遇な!!
    うちの母も3月25日生まれだったんですよ。
    だから私にとっては特別な日なんです・・・。
    母はとっても個性的な人でしたよ~。

    • Luzia
    • 2009年 8月 16日

    @Angelitaさん
    >うちの母も3月25日生まれだったんですよ。
    な、なんですとぉ!実に人の縁というものは不思議なものよぉ。
    ちなみにオイラは9月29日生まれ。「苦肉の策」でこの世に生を受けたとか受けないとか・・・。

    • 2009年 8月 16日

    Luziaさま、Anqelitaさま
    お邪魔してすみません。
    私の祖母も3月25日生まれでっす。
    村一番の美人だったそうですよ~!

    • Luzia
    • 2009年 8月 16日

    @Mさん
    ぬぁ~~~~っ!一体どうしたことかっ!3月25日、俺様の妄執リストにご登録じゃ。

    村一番の美人かぁ(にんまり)

    • 舟出メオラ
    • 2010年 4月 23日

     ごめん下さい。初めてメール致します。私は山下和仁さんより2才年下のギター愛好者で3月17日生まれです。あと8日後に生まれていれば・・・。
     ギターのレベルは300歳位年下かもしれません。

     山下さんの事はパリ・コン他コンクール3冠王の後に知りました。2枚目のレコードのボッケリーニ讃歌第4楽章を聴いてビックラこきました。 彼の後に出てきたギタリストには(15年以上・・・)は興味が沸きませんでした。 

     山下を知らないギターファンが、木村大が出てきた時に「すごい、凄い」「天才だー!」って言ってるのを聞いて「お前達何にも知らないんだねー」等と思ってしまいました。
     **念の為に言っておきますが、木村大は素晴らしいギタリストです。ファーストCDが一番好きです。 ただ最近はイケテナイような気がします。

     半年前頃から「土下寝で昼寝」を見る様になり、また掲示版の書き込みを見て、山下の「展覧会の絵」 他諸々が凄かったんだナ! と改めて思っちょる今日この頃です。

     トロントの画像も見れてベリー嬉しいです。 さてそこで更なる贅沢を・・・???

    山下さんが16~20才の頃の映像で2曲!!  見たい!!  聞きたい!!!

    その頃のギター機関誌のインタビュー記事には確か・・・?

    1、オーケストラをバックに「チゴイネルワイゼン」をテレビで弾いた。 のと
    2、「展覧会の絵」をオーケストラ版とギター版を交互に弾いた。(噂だとオーケストラより高い評価を得たらしい・・・? 九州?のプロオケか?) 

    Luzia様の御力で是非 アップして頂けたら!?  と想うちょります。
    宜しく、ごっつあんです。 (笑) 

    長々と失礼いたました。 次に書けるチャンスが有るならば、「F先生」 と 「山下さんに再録音してほしい曲」について書いてみたいです。

    • Luzia
    • 2010年 4月 23日

    @舟出メオラさん
    はじめましてっ!

    山下さんは今でも評価がかなりハッキリ分かれるギタリストではありますが、好みを抜きにしてもやっぱり僕は別格だと思っております。それは山下さんの人間離れした超絶技巧云々と言うよりも、“音楽への取り組み方”、“感じ方”などが通常のギタリストと明らかに違うと思うからです。残念ながら、そのあたりを正当に評価しているのが日本よりも海外の方が多いような気がします。山下さんが近年、国内よりも海外での演奏を好まれているのはそのせいではないかと勘ぐってしまいます・・・。

    「展覧会の絵」やそれ以降の大曲のアレンジの山下さん自身による演奏は今後期待出来ません。山下さん自身もそれらを一部を除いて「封印」しているようです。

    >オーケストラをバックに「チゴイネルワイゼン」をテレビで弾いた。
    これは今でも伝説になっています。実は僕も未見でありまして、一度は観てみたいですぅ。メンデルスゾーンの「ヴァイオリン協奏曲」も演奏されているようなんですけど、こちらも未見であります。

    >「展覧会の絵」をオーケストラ版とギター版を交互に弾いた。
    たぶんこれは「オーケストラがやって来た」という番組かもしれません。故・山本直純さんとアグネス・チャンさんが司会をされていた頃の番組で、一時期ニコニコ動画にアップされていましたが現在は削除されているようです。(保存しておくんだった・・・)

  3. 山下和仁見たのはラッキーだったんですね

    今日地元沖縄で、福田進一のギターコンサートに行ってきたら、
    あまりのヘッタクソにあきれてここのサイトに辿りつきました。

    どこで福田進一の悪口言ったらいいんですかね、

    悔しいので

    「今日福田進一のコンサート行ってきた」と
    「天才ギタリスト山下和仁」と並べてツイートしました。

    • Luzia
    • 2016年 5月 24日

    @novus_amorさん
    コメントをいただきありがとうございまっす。

    ここ近年、山下さんは海外を中心に演奏活動をされていて、国内のコンサートが少なくて残念でっす・・・。もっと日本でも演奏して欲しい!

    来月発売される現代ギター2016年7月号に山下和仁さんのロングインタビューが掲載されるとのことです。楽しみでっす。

    • おばたく
    • 2017年 8月 17日

    こんにちは。
    先日ネットサーフィンをしていたところ、山下和仁さんのアロンソの結婚の楽譜が再出版されるとの情報を耳にしました。
    http://www.gakufu.ne.jp/detail/view.php?id=197662
    などのサイトです。
    楽天ブックスでは8月25日と載っておりました。
    そこで、タイトルに一緒にドヴォルザークのラルゴが載ってるんですが、これは先日出版された新世界より全曲に入っていた二楽章と同一のものですよね?
    どうしてこちらにも載ってるのでしょうか。
    過去の出版時にリアルタイムで見てないので知らないのです。
    何かご存知でしたら教えてください。

    • Luzia
    • 2017年 8月 17日

    @おばたく様
    コメントをいただきありがとうございました。

    >山下和仁さんのアロンソの結婚の楽譜が再出版されるとの情報を耳にしました。
    ハイ!現代ギター社から復刊されますね。

    お尋ねの件ですが、先に復刊されました「新世界より(全曲)」の楽譜に収録されている第二楽章「ラルゴ」と今回復刊します「ラルゴ/アロンソの結婚」に収録されている「ラルゴ」は同一の曲(アレンジも同じです)でございます。確かにややこしいですね。

    ワタクシの記憶では1983年にリリースされた山下さんのアルバム、「ハンガリー狂詩曲」(収録曲はリスト/ハンガリー狂詩曲No.2、ドヴォルザーク/ラルゴ(新世界より)、サン=サーンス/白鳥、パガニーニ/カプリスNo.24)と同時に「ラルゴ/アロンソの結婚」の楽譜がまず出版されました。その後に「ハンガリー狂詩曲No.2(他に白鳥とカプリスNo.24も収録)」が出版されました。

    そして、4年後の1987年に「新世界より」の全曲がリリースされ、この時も楽譜が同時発売だったような気がします。

    「新世界より(全曲」がリリースされた直後、現代ギター誌の山下さんへのインタビュー記事を読んだ記憶があります。

    「ラルゴ」はかなり以前からコンサートでは演奏されていたそうなのですが、さすがに全楽章の演奏は無理だと当時は思っていらしたようです。が、ある発想を得て(どんな発想かは不明です・・・)急速に残り3楽章のアレンジがまとまり、レコーディングに至ったそうです。

    このような時系列的経緯があったため、同一アレンジが2種の楽譜に収録されることになりました。

    ワタクシがこの件に関してとても残念に思うのが、まずアルバム「ハンガリー狂詩曲」が一度もCD化されていない事と、実は「新世界より(全曲)」は録音と同時にビデオリリースが予定され、撮影も行われたのですが、結局のところお蔵入りになってしまったことでございます。(何があったのかは不明です・・・)

    あ、でも少しだけ朗報が。「新世界より(全曲)」は後にCD化されましたが、現在は残念ながら廃盤です。Amazonやヤフオクで結構なプレミア価格になっておりますね。が、リリース時期は不明ではあるのですが、リマスター盤が出るらしいです。ちなみに新たな録音ではなく、あくまでも旧録音のリマスターであります。

    ご存知かもしれませんが、なぜかアメリカのItunesでのみ「展覧会の絵」と「新世界より」のライブ音源が発売されております。

    http://apple.co/2w3PZtE

    ワタクシは「展覧会の絵」は購入しているのですが、海外のItunesから購入するのはかなり面倒ですが、可能ではあります。もしご興味がありましたら、検索をしますとその方法がたくさん見つかるはずです。

    • おばたく
    • 2017年 8月 17日

    なるほど、そういう経緯があったのですね。
    ラルゴの難易度ってどのくらいなんでしょうか?

    • Luzia
    • 2017年 8月 19日

    @おばたく様
    コメントをいただきありがとうございます。

    「ラルゴ」は「新世界より(全曲」のアレンジの中では一番やさしく弾けるとは思うのですが、難易度的には超上級(超難曲)かと思います。

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