暁の明星~巨匠ビクトル・モンヘ“セラニート”

今年、実に25年振りの来日公演[1]を行った巨匠Victor Monge“Serranito”(ビクトル・モンヘ・セラニート)は、Paco de Lucia(パコ・デ・ルシア)、Manolo Sanlúcar(マノロ・サンルーカル)と同世代であり、今日のフラメンコ・ギターの世界を押し広げたギタリストの一人です。

パコやマノロが年々モダンの一途を辿って行ったのに対し、セラニートは頑なまでに伝統的なスタイル[2]を保守し、彼ならではの複雑華麗なファルセータを編み出し、もはや「彼だけにしか弾けない」という境地にまで達した偉大な巨匠です。

その音の細かさは、「1小節にどれだけ音を詰め込めるか」ということに挑戦しているかのようでもあり、あたかも難題を自らに課して修練をし続ける「修行僧」のようでもあります。しかし、そこから生まれる音楽は有り余るテクニックを自慢するような独り善がりさは微塵も無く、完成度の高い「楽曲」として聴く者に深い感動を与えてくれます。スタイルは全く違うものの、このような音の細かい、技巧的な演奏スタイルは現在活躍中のヴィルトゥオーゾ、Gerardo Núuñez(ヘラルド・ヌーニェス)に引き継がれています。(たぶん・・・)

また、クラシック・ギターの巨匠Narciso Yepes(ナルシソ・イエペス)の助言を得て、3本指スケールをいち早く自身のファルセータに取入れたり、写真や動画ではわかり辛いですが、実はとても小柄で手も小さいため、どうしても指が届かない所ではチェロ奏者の様に左の親指でベース音を押弦をしたりとクラシックのマニアックな技巧もさり気なく使用するなど、常に努力を怠らない姿勢には頭が下がります。

今年の来日公演は残念ながら行くことは出来なかったのですが、行かれた方に聞くと往年のテクニックは衰えたものの、味わい深い「表現」には更に磨きがかかっていたそうです。あぁ、やっぱり仕事をサボタージュしてでも行くべきであった・・・。

ソレアを演奏するセラニート。

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タランタを演奏するセラニート。

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  1. 直木賞作家、逢坂 剛さん主催による第2回「カディスの赤い星」ギターコンサートで愛弟子沖仁さんとのデュオ公演を行った。 [戻る]
  2. 最近はかなりモダン化しましたが・・・。 [戻る]
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