ダークなアリス

Guillermo Del Toro(ギレルモ・デル・トロW)監督の2006年製作の映画「El laberinto del fauno」(英題:Pans’s Labyrinth、邦題:パンズ・ラビリンス)はスペイン内戦後のある薄幸の少女の物語を描いた作品です。第79回アカデミー賞において「撮影賞」、「美術賞」、「メイクアップ賞」を受賞しただけあり、とても幻想的で美しい映像満載のダーク・ファンタジーです。

文字通りダークな「不思議の国のアリス」のような映画と言えましょうか。DVDジャケットだけを見ると「煌びやかなファンタジー」な趣ですが、映画公開時にPG-12指定を受けているように非常に重いテーマ、残虐極まりないシーン、グロテスクな表現も多い映画です。しかもエンディングが観ようによってバッドでもありグッドでもあるという思わず唸ってしまうようなもの。素晴らしい!オイラは個人的にこういう映画が大好きだ。

内戦で父親を亡くした少女オフェリアが主人公。母親が独裁政権軍で反抗勢力の掃討指揮をするヴィダル大尉と再婚することになり、軍が駐屯しているある森の中の砦へと引っ越してくる。母親は既に大尉の子を妊娠している。この大尉が絵に描いたような性酷薄、しかも自分の跡取りになるであろうお腹の子供にしか興味が無く(息子が生まれてくるものと信じている。実際に息子が生まれるのだが・・・)、オフェリアのことはどこかよそよそしい態度を取る。

それを敏感に感じ取ったオフェリアは、現実逃避をするようにおとぎ話の世界へと没頭。そんなある夜に「妖精」がやって来て、森の中の迷宮へと誘われる。そこに現れたのは迷宮の番人パン(牧羊神)。パンはオフェリアを一目見るなり「あなたこそは地底の王国の姫君だ」と宣言し、それを証明するためオフェリアに3つの試練を果たさせることに。そこに待ち受けていた結末とは・・・。

この映画はファンタジーの要素を取り入れながら非常にリアリスティックであり、現実の厳しさ、戦争の残虐さというものを真正面から描いています。文学作品などもそうですが、ラテンな方々の表現手法というのはとってもアバンギャルドかつ斬新。オイラ的には「ガツンと一発やられた」映画でした。

「楽しいファンタジー」に食傷気味の方は是非一度ご覧なされたし。

オフェリアを演じたIvana Baquero(イヴァナ・バケロ)の演技も素晴らしい!

パンズ・ラビリンス 通常版 [DVD]

販売元:CKエンタテインメント( 2008-03-26 )

定価:¥ 4,104 ( 中古価格 ¥ 951 より )

Amazon価格:¥ 2,205

時間:119 分

1 枚組 ( DVD )


  1. う~んん・・これ怖くて(?)観られなかったんだよね・・。
    ずいぶん悩んで、もう少しで観るところだったのに、踏みとどまってしまった。
    残念な気もするし、観たら夢にみそうで後悔しそうだし・・・。
    これはダークファンタジーで、ちょっと趣はちがうのだけどスペインのホラー映画「永遠の子どもたち」を観たあとはしばらく眠れなかったからね・・。
    イバナちゃんはうちの学校で行われた上映会にきて挨拶もしてくれたそう。
    スペイン映画なのに観られなくてホント残念です・・。

    • Luzia
    • 2009年 10月 28日

    @Angelitaさん
    記事には書きませんでしたが、ヴィダル大尉の酷薄振りがかなり凄まじいので、PG-12指定になってしまうのは道理です。ですので、生理的にどうしてもそういった描写が苦手な方、そしてもちろん12歳未満のお子様が鑑賞することはお勧めしません。

    そしてあのラストシーン。ファンタジーとしては完全なカタルシスなんですけど、現実世界の人々(オフェリア縁の人達)には最悪の結末。かなりのバッドエンディングです。

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