20な方々の視線、あるいは刺線の想い出

大学時代(一年、二年)の時に老舗、松屋浅草でお中元&お歳暮の時期限定でアルバイトをしたことがある。オイラが所属していたギターサークルは古くからこの松屋浅草のアルバイトをする伝統があり、新入生は特に用事がない限り半ば強制的に駆り出されるのであった。

一年のお歳暮の時期であったと記憶する。正月二日からデパートは営業である。この日オイラは休みを取っていたのだけど、他のバイト要員(同級生、先輩方)が軒並み休みになってしまい、社員の方から「○○君、急で悪いんだけど今日バイトに出てくれない?お昼奢るから!」と懇願され「奢るから!」という言葉に即快諾。

で、出社すると何とバイトはオイラだけだった・・・。「まぁ、しょうがねぇな。昼飯奢ってもらえるし」と取りあえず仕事を始めた。すると昼ちょっと前に二人組みのお客さんがやってきた。が、お客さんを一目見てオイラの緊張度はMAXに跳ね上がった。

一人はパンチパーマで縦縞ストライプのスーツ&左右の指にはごっついカマボコみたいな指輪が嵌まっている。そして見事なまでに白目の勝った三白眼である。もう一人は、もうちょっとラフな格好の若い兄ちゃんだった。どこからどう見てもステレオタイプの「20」[1]な方々である。

どうやらお歳暮の品定めにいらっしゃったようだ。一応「いらっしゃいませぇ」と元気良く!ご挨拶。が、完璧スルー・・・。冷や汗・・・。しばらく店内のお歳暮スペースを徘徊されるとお声が掛かりました。

「兄ちゃん、これ包んでくれる?」

見ると「油と調味料の詰め合わせセット」の一番高いやつだった。数は5セット。追い討ちをかけるように「大事な人に渡すもんだから丁寧に頼むな」とのお言葉を賜りました。もちろんオイラは満面の笑みで「かしこまりました!」と応えた。

早速包装を開始。が、ここからの約10分間は本当に針の筵であった。お中元の季節に包装しまくったので、包装すること自体は得意ではあったのだが、お二方は微動だにせずオイラの包装する様子を刺すような視線、もしくは刺線(with 三白眼)でご覧になられているのだ。手が面白いように震えた・・・。もうね、肉を抱いてサメが泳ぐプールに身を投げるくらい緊張したっすよ。

で、無事に包装を終えると「そんじゃ、車まで運んでくれるか?」との問いに「喜んでぇ!」とやるき茶屋の店員に明日からなれるくらいな返事をして、5セット分の商品を当然ながら一人で持って運んだ。

無事に車まで運んで、「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております。」と挨拶をしてその場を去ろうとすると(もうね、とにかく一刻も早く緊張から解かれたかったんだよぉ~~~っ!)、

「おい兄ちゃん。ちょっと待ちな」

と若頭(想像)のドス効いたお言葉。「う・・・、オイラなんか粗相をしたか?い、いや完璧だったはずだ」と回想していると、若頭(想像)は右手をスーツの内ポケットに。

「や、殺られる・・・」

覚悟を決めた。だけど若頭(想像)は幾分優しげな声で「正月早々バイト大変だな。駄賃だ。取っておきな」と手の切れるようなピン札の1万円札を差し出すのだった。遠慮しようと思ったけど、断ったら今度こそ本当に覚悟を決めなければならんような気がして素直に受け取った。

その後、約束どおり社員の方に昼飯をゴチ(寿司だよ寿司!回る寿司ぢゃないよ!)になった。この日の寿司は本当に心の底から旨かった。

  1. ヒント:8+9+3=20 [戻る]

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Luzia

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  1. ははっ(^^)素敵な思い出ね!
    私も前田美波里さんに会った雑貨屋さんのバイト時代は包装が得意だったけれど、
    手元をじっとみられていると緊張するよね。
    結果的には1万円+廻らないお寿司!でお得な1日でしたね!

  2. Luzia

    @Angelitaさん
    松屋でのバイトは他にも色々な体験が出来て楽しかったです。今はどうか知らないのですが、いわゆる「隠し部屋」のようなものが様々な所に存在(そこは主に社員の方の休憩スペースになっています。自動販売機があったり、喫煙できたり。もちろん、一般の方は入れません)してました。茶室に入るときのようにかなり屈んだ状態にならないと入れない部屋や階段の下とかね。

    結構辛かったのは、賞味期限が切れた調味料、ジャム、生鮮食品の処理ですかね。冬場はまだいいんですが、夏はかなり地獄。当時、デパート裏にそれらを処分する小さな倉庫のようなものがあって分別するんですが、その部屋にこもった匂いたるや・・・。阿鼻叫喚でございます。

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