ホロコーストを扱った映画というとSteven Spielberg(スティーヴン・スピルバーグW)監督の名作「Schindler’s List(邦題:シンドラーのリスト)」をまず思い出すのだけど、オイラ的には2002年に公開されたRoman Polanski(ロマン・ポランスキーW)監督による「The Pianists(邦題:戦場のピアニスト)の方がより深く心に刻まれた作品である。
ユダヤ系ポーランド人ピアニスト、Wladyslaw Szpilman(ウワディスワフ・シュピルマンW)の手記「ある都市の死」を元に映画化されたものです。この手記も読みましたが、戦争を知らない世代にとってはとても衝撃的でした。ホロコーストのことは皆さんある程度ご存じでしょうが、人類史上もっとも陰惨な出来事であったことは間違いないでしょうね。
名匠ポランスキー監督のこの映画はまるでドキュメンタリーを観ているような錯覚に陥るほどリアル。ご覧になっていない方のためにあえてストーリーは書きません。是非その内容はご自身の目でご確認下さい。
オイラがこの映画で一番心に染みたのは、廃墟の中で食べ物をあさっていたシュピルマンが、ドイツ軍将校「Wilm Hosenfeld(ヴィルム・ホーゼンフェルトW)」に見つかってしまう絶体絶命のシーン。ホーゼンフェルトはシュピルマンがピアニストだと知ると、廃墟に奇跡的に壊れず残されたピアノで何か演奏するよう命じます。シュピルマンは震えながらショパンの「バラード第1番」[1]を演奏。ホーゼンフェルトはその演奏に感動し、シュピルマンをその部屋に匿うことを決心し食料も与えた。
この運命的な邂逅によりシュピルマンは結果的に生き延びることが出来、ホーゼンフェルトは戦後、戦犯として捕らえられて、スターリングラードの戦犯捕虜収容所で亡くなることに・・・。数奇な運命としか言いようがないですね。
この「バラード第1番」を演奏している途中、窓から日の光が部屋に差し込んでくるんですが、これが得も言われぬほど美しいの!初めて観た時は「さすがポランスキー!素晴らしい演出!」と思ったのですが、後にDVD特典映像のポランスキー監督のインタビューを観た時に驚愕。あの光の差し込みは全くの偶然だったのだそうだ。監督をはじめ、その場にいた人間は皆その神々しいまでの光景に涙したとのこと。
この作品は、2002年度第55回カンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞。アカデミー賞では監督賞、脚本賞、シュピルマンを演じた「Adrien Brody(エイドリアン・ブロディW)が主演男優賞を受賞しました。
ホーゼンフェルトの前で「ショパン/バラード第1番」を演奏するシュピルマン。1:12に注目!
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ウワディスワフ・シュピルマン本人による「ショパン/ノクターン嬰ハ短調(遺作)」の演奏。枯れた味わいがたまりません。
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- 実際はショパンの「ノクターン嬰ハ短調(遺作)を演奏したそうです。 [戻る]
Luziaさま
こんばんは。
戦場のピアニスト、レイトショーで一人で観ました。帰りが真夜中で、
駐車場も怖いし、運転する道も誰一人居なくて怖くて、
しかも、映画が本当に恐ろしく、とにかくレイトショーで観たことを
後悔した作品でした。。。映画ツウでない私には、シンドラーくらいの方が救われます。
本当にリアルで、怖かったです・・・・。
ピアノは素晴らしかったですが。。。
@Mさん
こんにちは。
レイトショーはちょっと確かにちょっときついかもしれませんね。
「シンドラーのリスト」は正直言うとオスカー・シンドラーがちょっと美化され過ぎている感があるので、僕は「戦場のピアニスト」の方が好みに合っています。ほとんど原作の手記に忠実なので。ただ、シュピルマンの手記がどこまで真実(多少脚色されている可能性があるかもしれないので・・・)を記述しているかわかりませんが。
そういう意味では、息子さんが書かれた「シュピルマンの時計」は、その後のシュピルマンのことが書かれていて興味深いですよ。