オイラのアキレス腱

子供の感性って一点の曇りもない、恐ろしく透明度の高い水晶珠のようなものだと常々思っています。ほとんどの人間は成長するに従いその珠が徐々に汚れ、曇っていく。オイラのように真っ黒に煤けてしまって修復困難な人もいるだろう・・・。子供の頃に見聞きした映像、音楽から受けた感動を大人になってから振り返ってみると、ほんの一瞬だけその輝きを取り戻すことがある。オイラにもそういう作品があります。

1975年に放映された「世界名作劇場」[1]の名作「フランダースの犬」がそれ。有名な作品ですから、皆さんも一度はご覧になられたことがございましょう。

原作はイギリスの女流作家Ouida(ウィーダW)による児童文学作品として余りにも有名な作品ですね。と言っても、日本だけが妙に盛り上がっているようですが・・・。多分、原作よりもアニメ版の影響が強いからかもしれませんね。

まぁ、ストーリーは皆さんご存知のとおりで今更オイラ如きが書くことでもないですけど、今話題の「15秒でわかる世界のむかしばなし」風に書くと、

むかしむかし絵の上手なネロ少年と飼い犬のパトラッシュがいて、ある日ルーベンスの絵が見たくなって雪道を歩いてノートルダム大聖堂に行ったら眠くなっちゃって、いつの間にか天使たちとお空を飛んでいました。めでたしめでたし。

す、すみまそん。ちょっとおふざけが過ぎました・・・。子供向けの児童文学としてはかなり衝撃的バッドエンドなストーリーはアニメ版ではさらに悲劇性が増されており、当時リアルタイムで観ていたお子様時代のオイラは最終話で大号泣してしまった。

子供にとって一番恐ろしいこと、考えたくないことは何か?それは間違いなく「死」です。子供は自分自身、親、親戚、友達が死ぬということは非現実的なこととして徹底的に頭の中から排除しようとする。そういう年代の頃にアニメとはいえ、主人公が死んでしまう(しかも子供が)という結末はとてつもなく悲しかったのだ。ただ、天使が舞い降りて来てネロとパトラッシュをやさしく抱き上げる光景が挿まれることによって「あぁ、でも天国に行けたんだな」とそれだけが救いだったと思う。

原作でのネロは15歳です。年齢的には独り立ち出来る可能性は十分にあり、結末もいくつかあった選択肢の中から結果的に天に召されることを選んだことに対して、「なぜ雄々しく自分の人生を切り開こうとしなかったか」と評したのはかの司馬遼太郎です。これは確かに正しい。オイラもそう思う。

ただ、アニメ版では明らかに年齢はずっと引き下げられており、それ故に悲劇性が圧倒的に高まってしまったのでしょう。

そんなこともあり、たまに「懐かしのアニメ特集」みたいな番組で必ずと言っていい程取り上げられる「フランダースの犬」最終話を観る度に、一気に子供時代の感性に引き戻され、恥ずかしながら今でも泣いてしまう。決して人には見せられぬ醜態であり、オイラにとってのアキレス腱であることは間違いない。そして、その時だけ感性の水晶珠がスーッと透明になって輝度を増すのも事実。

でも、ほんの一瞬しか続かないのがとっても残念だ・・・。

ベルギーのノートルダム寺院 ルーベンスの「キリスト昇架」

【おまけ】
本家「15秒でわかる世界のむかしばなし」

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本家「15秒でかわる日本のむかしばなし」

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  1. 実際は「カルピスこども劇場」が正しいようです。 [戻る]
  1. フランダースの犬かぁ。
    私はアニメで観ていないんですね。(この頃の年齢差は大きいのかしら??)
    でも子どもの頃、「世界名作全集」なる子供向けの本が家にあって、その中にこのフランダースの犬がありました。
    アニメは見ていないので分らないけれど、原作にはパトラッシェの独白もあって(?)ちょっと雰囲気がちがうかもしれませんね。
    でももちろんラストは号泣です。

    「泣く」という行為はぜんぜん恥ずかしくないですよ~。
    男だからっていうのも関係ないです!
    男も女も何かに心動かされて「泣ける」というのはいいことだとねーさんは思います。なぁんてね。私は映画を観てすぐ号泣するから・・・(笑)

    • Luzia
    • 2009年 11月 26日

    @Angelitaさん
    アニメ版のパトラッシュは残念ながら「ワンっ!」としか言いませぬ。「あのラストはちょっとないだろう!」という方も多いのですが、アメリカ版のように生き返っちゃうのはどんなもんなんでしょう。

    >「泣く」という行為はぜんぜん恥ずかしくないですよ~。
    うぅぅ・・・。そのお言葉で泣きそうです。オイラ意外と泣くんですわ。映画館で過去号泣ナンバーワンは「火垂るの墓(アニメ版」」だったかな。あれは反則です。ちょっと恥ずかしいぐらい号泣ってしまったです。

    • mimi
    • 2009年 11月 27日

    いや~、こうやって見ると、日本の昔話ってかなり凄惨というかキッチュというかスットンキョウというか・・・おもろいでんなー。

    わたしはAngelitaさんと同い年なので、やっぱり「フランダースの犬」は見てません。子どもの頃泣いたのは「名犬ラッシュ」とか「子鹿物語」かな。どちらも本ですが。

    • Luzia
    • 2009年 11月 27日

    @mimiさん
    15秒シリーズは最近テレビで紹介されているのを観てハマってしまいました。残念ながら「フランダースの犬」はなかったので、自分で書いてみたのですが・・・。あまりにセンスがなく凹。

    日本のむかしばなしって「教訓」や「残酷性」がシュールに混在していて面白いですね。

    「名犬ラッシュ」(オイラ的にはラッシー)は子供向けの本を読みまくりました。本気でコリー犬を飼いたかったなぁ。

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