古雅な旋律~聖母マリア頌歌集
Las Cantigas de Santa Maria(聖母マリア頌歌集)なる言葉を初めて知ったのは、クラシック・ギターの巨匠Narciso Yepes(ナルシソ・イエペスW)編曲によるギター演奏でだったと思う。何となく敬虔なイメージがあるこのタイトル。その歴史は大変古いです。
この歌曲集は13世紀のスペインに於いて、Leoón(レオン)とCastilla(カスティーリャ)両王国を治めていたAlfonso X(アルフォンソ10世[1])自らが編纂した400曲余りからなる、中世のマリア信仰に基づく民衆宗教歌集です。まさに単旋律による美しいメロディーの宝庫とも言える曲集です。
以前にもちょっと書きましたが、原本は難解なネウマ譜Wによって書かれ、10枚毎に頌歌と細密画が描かれているそうです。ネウマ譜の解釈は研究者によってまちまちなんですが、現在最も信頼がおけるものとして認知されているのがスペインの碩学、Higinio Angles(イヒニオ・アングレス、1888-1969)が編纂した「La Musica Cantigas de Santa Maria del Rey Alfonso el Sabio」とのこと。
この書籍に収められた現代譜による旋律から5曲を選び、ギターソロ用にアレンジした最初のギタリストが故・芳志戸幹雄Wさんでした。[2]聞いた話によると、ナルシソ・イエペスが日本でマスタークラスを行った際、芳志戸さんがこの自編の「聖母マリア頌歌集」で受講し、そのアレンジの素晴らしさに感動したマエストロ・イエペスが芳志戸さんのアレンジを元にして自分のアレンジを作り、演奏・録音までしたとのこと。イエペス編の方が有名になってしまいましたが、芳志戸さんのものは歴史的名アレンジとも言える素晴らしいものです。
いずれにせよこの「聖母マリア頌歌集」そのものは本当に美しくて心が癒されます。皆様も疲れた時の一服の清涼剤としてどうぞお楽しみ下さい。
中世の楽器(復元)での演奏による「聖母マリア頌歌集」。
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芳志戸幹雄さんの貴重な「聖母マリア頌歌集」の演奏動画。
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クラシック・ギターの巨匠、ナルシソ・イエペス演奏による「聖母マリア頌歌集」。
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【おまけ】
オイラの秘蔵楽譜っす。「アルフォンソ10世編纂~ナルシソ・イエペス編/聖母マリア頌歌集」の手稿譜でっす。当然ながら未出版のレア楽譜よ。楽譜には書かれていませんが、⑤=Gに下げてね。⑥は全く使用しません。
Alfonso X~Arr. Narciso Yepes / Las Cantigas de Santa Maria(PDF)
芳志戸さんと親交が深かった荘村清志さんが芳志戸・編の「聖母マリア頌歌集」を録音しています。
アーティスト荘村清志
クリエーター荘村清志, タルレガ, アルフォンソ, アルベニス, バリオス, 武満徹, メルツ, モンポウ
発行EMIミュージック・ジャパン
カテゴリーCD
うーん、びっくりしました。
何故、イェペスの未出版の楽譜をお持ちだったのですか?
@古池さん
こんにちは。
詳しいことは書けませんが、仕事と趣味が結実した結果、ゲット出来た次第でございまして・・・。
もし万が一この楽譜が出版されたら、ダウンロードを停止いたしまする。
はじめまして、
聖母マリア聖母マリア頌歌集、荘村清志さんがCD出していたんですね。
知らなかった、そっそく購入しました。
今まで、
芳志戸さんのレコードと
小川和隆さんのCD(イエペス版)を聴いていたのですが、
荘村さんもさすがの演奏で、良かったです。
編曲はイエペスよりも、芳志戸さんの方がずっといいです!
楽譜は
イエペス版が⑤=Sol で6ページ
芳志戸版が⑤=Sol ⑥=Re で14ページ
正直イエペス氏の演奏も小川さんの演奏もほとんど聞きません。
聴くのは芳志戸さんのレコードばかりでしたが、
今回、荘村さんのCDが手に入ってよかったです。
数十年前、芳志戸さんがこの曲を弾きまくっていたころ、
東久留米の教会と我孫子の公会堂で直接演奏を聴きました。(うろ覚えです)
この曲を習おうとギターの先生に頼んだのですが、私のギターの先生、芳志戸さんが好きではなかったようで、習わずそのまま来てしまいました。残念!
やっぱり今から弾くことにします。
もちろん全音楽譜出版社のピース芳志戸版です。
当時500円。
楽譜を見る限り、あんまり難しくなく弾けそうです。
では頑張ります。
@kouさん
コメントをいただきありがとうございまっす。
芳志戸幹雄先生による“聖母マリア唱歌集”のアレンジは、まさに歴史的名アレンジだと思います。絶版になってしまって久しいですが、これは是非とも復活して欲しいものです。
kouさんは実演も聴かれているのですね。羨ましいです。YouTubeに“聖母マリア唱歌集”やその他の貴重な演奏動画がいくつかございますが、磨き抜かれた深い演奏が素晴らしいですね。こういう音を出すギタリストって本当にいなくなってしまいました・・・。