ルネサンスと現代の融合

2006年に発表されたSting(スティング (ミュージシャン)W )のアルバム「SONGS FROM THE LABYRINTH(邦題:ラビリンス)」はとても衝撃的でした。元から彼のファンだった方は元より、クラシック(特に古楽)の世界でも一つの事件でした。しかも、レーベルはクラシックの名門であるドイツ・グラモフォンというこれ以上は無いシチュエーション!

彼のようなポピュラー界のビッグネームが、John Dowland(ジョン・ダウランドW)というイギリス・ルネサンス期の大作曲家(兼リュート奏者)のリュート歌曲を変に弄らず、オリジナルどおりに演奏(ちゃんとノン・ビブラートで歌っているっ!)するという高レベルの演奏を展開しています。これが本当に素晴らしい!

クラシック・ギターの世界ではダウランドのリュート独奏曲(これも膨大にあります)を編曲して演奏することは古くから行われています。ダウランドの作品はどれも美しく、この時代の作曲家の中で最高のメロディー・メーカーかもしれません。

現代との融合という事を考えた時、真っ先に頭に浮かぶのは、巨匠Julian Bream(ジュリアン・ブリームW)が同国の大作曲家、Benjamin Britten(ベンジャミン・ブリテンW)に委嘱したギターソロのための作品です。

「Nocturnal after John Dowland for Guitar Op.70(邦題:ノクターナル Op.70~ジョン・ダウランドによる)がそれで、独断と偏見を恐れずに言えば、20世紀中に書かれたクラシック・ギターのためのオリジナル作品では最高傑作だと思います。

1964年に委嘱者のジュリアン・ブリームにより初演され、その後録音もされたことにより、クラシック・ギターのための現代作品としては定番の作品になりました。

この作品はいわゆる「変奏曲」の形式を取っています。通常、変奏曲は主題(主題の前に序奏が付くこともある)の後に変奏が続きますが、この曲では主題が一番最後に出てくるという珍しい作品です。

その主題に選ばれているのが、ダウランドのリュート歌曲「Come, heavy Sleep(邦題:来たれ深き眠りよ)」なのです。曲冒頭はとっても静的かつミステリアスに始まり、曲が進むにつれて主題の様々なモチーフが現れクライマックスを迎えます。一瞬の静寂の後に美しい「来たれ深き眠りよ」のメロディーが流れ始めるんですが、この劇的な展開は何度聴いても鳥肌が立ってしまいます。

ノクターナル1 ノクターナル2 深き眠りよ

14分という長めで地味な作品と言うこともあり、表現力の乏しいプレイヤーが演奏すると途端に退屈な曲になってしまいますが・・・。

いずれにしろ、古いものと新しいものの融合ってとっても刺激的ですね。失敗すると目も当てられない結果になってしまいますが・・・。

ソプラノのJulia M. Gaosとリュート奏者のJose Luis Navarroによる「来たれ深き眠りよ」の演奏。

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ジュリアン・ブリーム演奏による「ノクターナル」の貴重な映像Part.1。

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ジュリアン・ブリーム演奏による「ノクターナル」の貴重な映像Part.2。

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Luzia

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  1. Stingは私も好きだけど・・。ポリスの頃のレコードもあるし・・。
    でもこのCDのことは知りませんでした。
    リュートも好きだしぜひ聴いてみたい!
    スティングはビセンテとも2度ほど共演しているし、ホントにジャンル不問の自由人ですね。素敵!

  2. Luzia

    @Angelitaさん
    Stingのダウランドはお勧めですよ。

    古楽の世界ってこう言っては何ですけどかなり保守的(日本だけかな?)なので、専門の演奏家以外が録音や演奏をするとかなり辛辣な批判をされることが多いです。でも、このアルバムは結構、評判が良かったようです。

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