全人類的お宝必聴盤~Part 8 “パコ・デ・ルシア/アルモライマ”

一応この「全人類的お宝必聴盤」シリーズは、アーティストに対し1枚だけとオイラは心の中で決めていたんですが、今日久々にパコのある古いアルバムを会社で聴いて感動を新たにしてしまったので掟を破ります。もう何百回となく聴いているはずなのに、やっぱりパコは「神」だなとつくづく感じ入ってしもた。

“Almoraima(邦題:アルモライマ)~1976年”

almoraima

  1. Almoraia(アルモライマ)
  2. Cueva del Gato(エル・ガトの洞窟)
  3. Cobre(あかがねの肌)
  4. A la Perla de Cádiz(ラ・ペルラ・デ・カディスに捧ぐ)
  5. Ole(オレ!)
  6. Plaza Alta(小高い広場)
  7. Rio Ancho(広い河)
  8. Llanos del Real(エル・レアルの曠野)

個人的には30歳を目前にしたパコが、伝統的なフラメンコの語法で出来ることを全て出し切ってしまったアルバムだと思っています。斬新なハーモニーも使用されていますが、それ程過激ではありません。でも、随所に今までのフラメンコ・ギター音楽では考えられなかった実験的なアイデアが盛り込まれています。

せっかくなので今回は1曲づつ解説してみましょう。

1 「アルモライマ」
リズムはブレリアス。リズムの刻み方が凄く斬新です。特筆すべきは曲の構成です。最初に演奏したファルセータが最後にも出てきます。こういった流れは従来のフラメンコ・ギター作品にはなかったと思う。また、ウードが断片的に使用されているのも当時としてはかなり画期的でした。

2 「エル・ガトの洞窟」
リズムは自由リズムのロンデーニャ。前半は伝統的なロンデーニャのファルセータなんですけど、後半から4分の3拍子による舞曲調に変化!いやぁ、初めてこの曲を聴いた時はブッ飛んだ。恐らくロンデーニャをこのように演奏したフラメンコ・ギタリストはパコが初めてだと思う。

3 「あかがねの肌」
リズムはフラメンコの基本中の基本であるセビジャーナス。伝統的なセビジャーナスに則って4部形式なんですが、このアルバム中もっとも実験的な作品だと思う。と言うのも、各部でカポタストの位置とチューニングが違うのです。このとおりにライブで演奏するのは基本的に不可能(工夫次第で可能ではあるんですが・・・)なのです。パコのパートだけを説明すると、「セビジャーナス I」はカポ2の⑥=D。「セビジャーナス II」はカポ2の⑥=D、③=F♯。「セビジャーナス III」はカポ2の⑥=D。「セビジャーナス IV」はカポ4のノーマルチューニングという具合です。素晴らしい発想ですね。

4 「ラ・ペルラ・デ・カディスに捧ぐ」
リズムはカンティーニャス。このアルバム中、一番普通の曲かも(笑)。でも、短調部分で使用されているコードが結構斬新です。

5 「オレ!」
リズムは珍しいハレオス。音も電気的な処理がされていてほとんど前衛的です。そして、パコが初めて過激なチューニングを使用した作品かもしれません。セカンド・ギターは⑥=Aになっています。張りのないギターだとベロンベロンになってしまうと思う。

6 「小高い広場」
リズムはフラメンコの母とも言われるソレア。このソレアもかなり斬新な試みがされています。凄いのは、途中でソレアとは全く関係のないグラナイーナスのファルセータが何気なく挿入されているところかな。それが自然に聴こえてしまうのは何故なんだろう?

7 「広い河」
リズムはルンバ。コード進行がポップなせいもあってとっても耳馴染みのよい作品です。例の「スーパー・ギター・トリオ・ライブ!」でパコとディ・メオラによる「地中海の舞踏」はこの曲をモチーフにしたもの。

8 「エル・レアルの曠野」
リズムは自由リズムのミネーラ。もうとにかく美しいの一言!使用コードも凄く斬新。これ以前はあまりミネーラを弾くギタリストっていなかったと思うのだけど、この作品以降、フラメンコ・ギターソロには欠かせない曲種になったと思う。

まぁこんな感じなんですが、ほんと全てやりつくしちゃってますね。

その後、パコがジャズ・プレイヤーに接近して新たなハーモニーを獲得し、それを消化することによって10年後にあの大傑作「Sirocco~熱風」が生まれたのです。

今日は往年の「パコ・マニアっぷり」が前面に出てしまった・・・。お許しくだされ。

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