死んだ男の残したものは

今年の米国アカデミー賞は大方の予想を裏切り、Kathryn Bigelow(キャスリン・ビグローW)監督作品「The Hurt Locker(邦題:ハート・ロッカー)」が、作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、編集賞、音響編集賞、音響調整賞と実に6部門を制しました。しかも、女性監督による作品が監督賞を受賞したのは史上初とか。この映画はイラクを舞台としたアメリカ軍爆弾処理班を描いたとてもリアルな内容で、現実において現在進行形の戦争を描いているという、これまた従来の戦争映画とは一線を画したものになっています。

と、まるでこの映画を観たかのように書いていますが実は未見です・・・。時間が出来たら観ようと思っているんですけどね。TVでこの作品が紹介されていたのをチラッと見たのですけど、この作品は戦争映画にありがちな押し付けがましいメッセージ性がない作品とのこと。

先月の27日に長谷川きよしさんのことを書いたのですが(こちら)、その記事を書くために長谷川さんの動画を探した時に初めて知った曲がありました。それは今日の記事のタイトルになっている「死んだ男の残したものは」という曲です。作詞は谷川俊太郎Wさん、作曲が武満徹Wさんという素晴らしい作品です。

この作品はベトナム戦争が開戦した1965年に、「ベトナムの平和を願う市民の集会」のために作られた曲だそうです。作曲を依頼された武満さんはたった1日で曲を完成させ、「メッセージソングのように気張って歌わず、『愛染かつら』のような気持ちで歌って欲しい」という手紙を添えて渡したというエピソードが残っているそうです。歌詞は以下のとおりです。

「死んだ男の残したものは」
作詞:谷川俊太郎 作曲:武満徹

死んだ男の残したものは
ひとりの妻とひとりの子ども
他には何も残さなかった
墓石ひとつ残さなかった

死んだ女の残したものは
しおれた花とひとりの子ども
他には何も残さなかった
着もの一枚残さなかった

死んだ子どもの残したものは
ねじれた脚と乾いた涙
他には何も残さなかった
思い出ひとつ残さなかった

死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった

死んだかれらの残したものは
生きてるわたし生きてるあなた
他には誰も残っていない
他には誰も残っていない

死んだ歴史の残したものは
輝く今日とまた来るあした
他には何も残っていない
他には何も残っていない

押し付けがましいメッセージ性がないにも拘らず、何だか堪らない気持ちになってしまいます。前述した「ハート・ロッカー」を紹介するTV番組を見た時に、頭の中で思わずこの歌とリンクしてしまいました。シンプルなんだけどとっても力強い詞ですね。「ハート・ロッカー」もきっとそういう映画なのかもしれませんね。

この歌を聴きながら、いつ果てるとも知れないイラク戦争の終結を祈るばかりです。

この作品はクラシックの歌い手はもとより、合唱や石川セリWさん、高石友也Wさん、小室等Wさん、森山良子さんといったポピュラー畑の歌い手によっても広く歌われています。可能な限り様々な音源を聴きましたが、この長谷川さんの歌とギターによる演奏が個人的に一番心に染みました。

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