カノンを一人で弾くのは愚行?

バロック時代に完成されたカノン様式って簡単に言えば「輪唱」のようなものであり、この様式で書かれた曲を器楽独奏で演奏することは基本的に不可能であり、喩えるなら多くの方が一度は輪唱で歌ったことがあるであろう「かえるのうた」を一人で輪唱しようとすることであり、そんなことが出来たらビックリ人間であり、世界中から引っ張りだこになることウケアイである。カノン様式による曲で最も有名なのは、Johann Pachelbel(ヨハン・パッヘルベルW)の「3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調」(長ぇ・・・)、通称「パッヘルベルのカノン」でありんしょう。

その優雅でキャッチーなメロディーは、普段クラシック音楽を聴かない方でも知っているほどポピュラーな作品ですね。現在でも結婚式で演奏されるBGMのダントツ1位ではないでしょうか。

で、ご多分に漏れずギターのためのアレンジも腐るほどあり、意外にギターソロ用のものが多いのがとっても不思議・・・。前述したようにカノンを一人で演奏することは不可能なので、「厳密にはカノンぢゃないんだがなぁ」といつも譜面を見て苦笑する今日この頃。

が、「現代ギター」というクラシック・ギターのための月刊誌の2010年5月号に添付されていた、ギタリスト作曲家・佐藤弘和さんがアレンジされたギターソロ用譜面を見てちょっとビックリ。てゆーか、感動したっ!ギターソロ用のアレンジであるんですが、省略の無いフルサイズによるアレンジであり、楽譜の冒頭に「3人で2小節ずつずらして弾くことでカノンとなる」と但し書きが書かれているのが超ナイス!

実は「パッヘルベルのカノン」って2小節で1つのブロックになっています。ポピュラー音楽的にコード進行を書くと、1小節目「D→A→Bm→F♯m」+2小節目「G→D→G→A」になっています。これを延々繰り返しているわけです。ですので、まず一人目が冒頭の2小節を弾き終えたら2人目が冒頭から弾き始め、2人目が冒頭の2小節を弾き終えたら、3人目が冒頭を弾き始めます。2小節ずつずれてもコードパターンは全く同じなので全く問題なし。そして、これで完璧なカノンになるのねっ!

カンの良い方は「ずらして弾くということは、エンディングの場所が違ってしまうのでは?」と思われたでしょう。そのとおりでございます。ですので、楽譜に3箇所フェルマータ・マークが付けられています。一番最初に演奏した方は当然一番最後の小節、2番目に演奏下方はそれから2小節前の1拍目、3番目に演奏された方は更にそれから2小節前の1拍目に付けられています。これでめでたしめでたし。

kanon1 kanon2

カノン様式ということを無視すれば、ギターソロでも十分楽しめるアレンジになっているのも素晴らしい!なぜ今までこのようなコンセプトによるアレンジ譜が発表されなかったのだろうか?こういう良質なアレンジ譜がもっとたくさん増えることを切に希望っ!

ピリオド楽器によるカノンの演奏です。

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