可愛い悪魔

Niccolò Paganini(ニコロ・パガニーニW)は大作曲家かつ偉大なヴァイオリン奏者であったことは皆様ご存知のとおりであり、その当時はパガニーニのヴァイオリン作品は本人しか弾けないとまで言われ、またその人間離れした超絶技巧ぶりから「悪魔に魂を売った」とも言われたのでした。んでまた、色んな逸話&伝説の類も多数あるのね。パガニーニ=ヴァイオリンと言うイメージが強いですが、実はヴァイオリンとギター、ギターソロ作品、ギターを含む室内楽作品も多数残しています。なわけで今日は、パガニーニとギターにまつわる逸話を書こう!

パガニーニと同時代のギタリストにLuigi Legnani(ルイジ・レニャーニ)と言う、これまた大変なヴィルトーゾがいたんですが、二人は大変仲が良く、頻繁に演奏旅行を行ったそうです。

当然デュオで演奏する作品はパガニーニが作曲したものであり、そのほとんどがヴァイオリンが主役でギターは脇役。ヴァイオリン・パートは超絶技巧を凝らした派手なものに比べ、ギターは簡単な伴奏ばかり・・・。ギターのヴィルトーゾであるレニャーニさんはだんだん不満を覚えるようになったそうな。で、実はヴァイオリン演奏も上手かったレニャーニはある時パガニーニに相談を持ちかけた。

「よぉ、パガちゃん。今度の演奏会でさ、1曲だけ楽器を交換しねぇ?」

するとパガニーニはこう応えた。

「いいねいいね。オッケー!ぢゃ、そのための曲をすぐ作るよっ!」

で、出来た作品が「Grand Sonata(グランド・ソナタ)」という曲なんですが、ギターが主役でヴァイオリンはほんと申しわけ程度のオブリガード(おかず)しかない、ほとんどギターソロ作品のようなものなのでした。パガニーニさん、あんたほんとにお茶目!ちなみにこの作品は現在でもギターとヴァイオリンで演奏されることは滅多に無く、ギターソロで演奏されることが多いです。ヴァイオリンとギターのための作品の中で唯一、両楽器が対等に扱われているのが「Sonata Concertata M.S.2(協奏風ソナタ)」と言う曲で、現在でも演奏頻度が高い名曲です。

常動曲 協奏風ソナタ 協奏風ソナタの手稿譜

ギター絡みネタをもう一つ。パガニーニの時代、つまりロマン派の時代はギターはどちらかと言うと上流階級の女性が嗜む楽器として人気が高かったのだそうです。その頃パガニーニが熱を上げていたさる令嬢も例に漏れずギターを嗜んでいました。で、ある日パガニーニにこう懇願したそうな。

「ねぇ、ニコちゃん。私ぃ、ギターが好きなの!だからギターの曲作って!」

するとパガニーニはこう応えた。

「OKベイベー。だよね!やっぱギターだよね!ヴァイオリンなんかいらねぇ」

本当に一時期、ヴァイオリンを弾かずギターばかり弾いていたそうな。で、彼女でも演奏出来るやさしいギター作品をたくさん作ったのです。

37のソナタNo.1

ちょっと冗談めかして書きましたが、どちらかと言うと過激な逸話が多いパガニーニのこういった微笑ましいエピソードに触れると何だか嬉しくなりますね。

パガニーニはお茶目で可愛い悪魔です :wink

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