絶対買ってはいけない楽譜

今日ご紹介する楽譜は、かつて「偏執狂的パコ・マニアのページ」というアホな名前、且つ、内容の無いパコ・デ・ルシアのファンサイトが存在し、そのサイトで絶対買ってはいけないパコの採譜楽譜として紹介されていて、実はこのサイトを運営していたのは他ならぬオイラだったのであり、久々に思い出してググってみたらいまだ販売されており、怒り心頭であり、これ以上被害者を増やさぬためにもう一度書こうと思う次第で御座候。

採譜、いわゆる“レコード・コピー譜”はパーフェクトなクオリティのものを作成するのは基本的に不可能です。でも、他人が採譜する場合でも、自分自身が採譜する場合でも、99.9%のクオリティを目指して採譜されるべきであります。ましてやそれを販売しようとなれば尚更でございます。

今まで様々な採譜楽譜を見てきましたが、これほど酷いものにはお目にかかったことがございませぬ。それはイタリアのEdizioni Carischから出版されている以下の2冊でございます。

糞楽譜

写真向かって左の『Lo Mejor de Paco de Lucia』はもともとスペインの出版社から出ていた楽譜で、右はご丁寧にタブ譜を併記した新版です。ちなみに収録曲は以下のとおりです。

El Tempul(エル・テンプル:ブレリアス)
Aires Choqueros(いか釣り船の歌:ファンダンゴス・デ・ウエルバ)
Aires de Linares(リナーレスの調べ)
Celosa(妬いてばかり:ソレアレス)
Cepa Andaluza(アンダルシアの根を求めて:ブレリアス)
Entre Dos Aguas(二筋の川:ルンバ)
Fiesta en Moguer(モゲールの祭り:ファンダンゴス・デ・ウエルバ)
Generalife bajo la Luna(月影のヘネラリーフェ:グラナディーナス)
Guajiras de Lucia(ルシアのグァヒーラ:グァヒーラ)
Lamento Minero(鉱夫の嘆き:ミネーラ)
Mi Inspiracion(私の霊感:アレグリアス)
Percusion Flamenca(フラメンコの衝撃:サパテアード)
Plazuela(プラスエラ:ブレリアス)
Punta Umbria(プンタ・ウンブリア:ファンダンゴス・デ・ウエルバ)

( )内は筆者記

この楽譜のどこがダメダメなのか。

実は採譜自体は良く出来ているのです。たぶん採譜をされた方はフラメンコ・ギター、と言うよりギターを弾かない方がされていることは間違いありませぬ。なぜなら、cejilla(セヒージャ=カポタスト)の位置を全く無視して採譜をしているからです。

フラメンコ・ギターを演奏する方ならご存知のとおり、ギターソロであってもその時の気分でセヒージャを装着してギターを演奏することは一般的ですね。例えばオイラがフラメンコ・ギターの曲を採譜しようと思ったら、まずセヒージャが使われているか、使われていたら何フレットに装着しているかを判断します。そこから初めて採譜の作業に入るわけです。

セヒージャの位置を無視して採譜をすれば、たとえ音が合っていたとしてもコード・フォーム等は全く違うものになり、多くの場合演奏不可能になります。

上記の曲の中でセヒージャが使われていない曲は「二筋の川」と「フラメンコの衝撃」だけ。後は結構大変なことになっています・・・。

こんな使えない楽譜が販売されているのは、楽譜に携わる仕事をしているオイラにとっては許せん!責任者出てこんかい!と、思わず叫びたくなるのであります。

くれぐれもこの楽譜は買わないようにね!

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