Juanjo Dominguez(ファンホ・ドミンゲス)というギタリストの名を知ったのはオイラの記憶が正しければ、現代ギターという雑誌のインタビュー記事だったと思います。もう20年近く前になるのだなぁ・・・。その記事から受けた印象は正直言って“大変な自信家”だなというものでした。「俺が世界で一番巧いギタリスト」と公言してはばからない物言いは同時に不快でもありました。彼は当時、アルゼンチンでは名の知れたギタリストでありましたが、世界的には全く無名のギタリストだったと思います。しかしそれには理由(ワケ)があったのです。
ファンホの奥様が病に倒れ、つきっきりで看病をしなければならず国外に出ることが出来なかったのです。残念ながら奥様はその後に他界され、それをきっかけにギタリストとして本格的な活動に出た頃に受けたのが上記のインタビューです。
1993年にタンゴの巨匠カルロス・ラサリ率いるフアン・ダリエソ楽団と初来日。この時、ファンホが完全ギターソロで演奏したAstor Piazzolla(アストル・ピアソラW)の「Adios Nonino(アディオス・ノニーノ)」の演奏の素晴らしさは今でも語り草になっています。たまたまコンサートに来ていたビクターの人が余りにも感動してしまい、彼が来日中の間に録音を依頼して「アディオス・ノニーノ」というタイトルでCDをリリースしてしまったくらいです。
オイラがファンホの演奏を初めて聴いたのがこのアルバム[1]でした。参りました・・・。看板に偽りなし。確かに素晴らしい演奏でした。
冒頭の文章を読むと我の強い人物に思われがちですが、うちのお客様で熱狂的なファンホ・ファンのおばさま[2]が来店された折、ファンホの人となりを教えてくださったのですが、実際の彼はとっても物腰が柔らかく優しい方で、とにかくギターを演奏するのが大好きな方[3]だそうです。
ファンホのギター演奏は誰も真似が出来ないくらい“人間離れ”した技巧が随所に出てきますが、技巧をひけらかすという感じではなく、音楽の自然な流れに沿っているので全然嫌味には感じられません。また、ゆったりした曲でも大変味のある演奏をします。なかなかこういうギタリストはいないですよ。
残念ながらまだ一度も実演を聴いていません。次回来日の際は万難を排して行くつもりです。
アストル・ピアソラの名曲「Adios Nonino(アディオス・ノニーノ)」を演奏するファンホ。いやはや文句なく素晴らしいっす!
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Carlos Gardel(カルロス・ガルデルW)の名曲「Volver(帰郷)」を演奏するファンホ。ゆったりした曲も実に味わい深い演奏をします。素敵です。
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ファンホ・ドミンゲスのCDは私も持ってます。現代ギター誌でCDの紹介かなんかの記事で知って買ったと思います。インタビュー記事はその後の現代ギター誌に出たのじゃないかな?おそろしく自信家でイエペスよりも自分は上手いとかいっていたと記憶してます。
たしかにCDを聴くと信じられないくらい上手いし速い。ほんとにギター1本で弾いているのか?なんて思って、ギター仲間に聴かせたら、多重録音じゃないかとか言われて、まあ半信半疑だったわけでした。
しかし最近思い出して動画でもあるかなって探ったら、上記にも載せている動画がありまして、確かに一人で弾いているとわかり、二十数年ぶりに疑問が解決されたという次第です。
ほんと南米には凄いギタリストがゴロゴロいますね。
最近私はいろんな人にMarcus Tardelliというギタリストを勧めてます。
シュウイチ・Kさん
コメントをいただき誠にありがとうございます。
現代ギター誌のインタビューで初登場した時のドヤ発言はかなりインパクトがありました。でも、演奏は確かに素晴らしいんですよね。
残念ながら昨年の2月に68歳という若さでご逝去されてしまいましたね。パコ・デ・ルシアは66歳でしたし、天才は短命なのですかねぇ・・・。
追記
Marcus Tardelliさんの演奏を聴いたことがなく(滝汗)、先程YouTubeで演奏動画をいくつか拝見いたしました。ヤバいっすね。スンバラシイ演奏でございました。
やっぱりラテン圏のギタリストはある意味油断なりませぬなぁ。すんごい人が確かにゴロゴロいますね。