復讐のマルガリータ

オイラ、高校は男子校だったんだけど、男子校っちゅうのは誠にムサ苦しいものでありんす。もうね、朝教室に入ると“男臭”で空気が澱んでいるし、“華やかさ”なんちゅうもんとは無縁の世界ぜよ。それはさておき、我が母校は異様に頭髪チェックが厳しく、月に1回“恐い”学年主任が各教室を巡回するのである。これにまつわる話はいくつかあるんだけど、今回はオイラにとって忘れられないエピソードを書きまっす。これはこの学年主任に対するオイラの復讐物語(ノンフィクション)である。

どのようなチェックがされるかと言うと、

  1. サイドは耳にかかってはいけない。

  2. 襟足がシャツの襟に触れてはいけない。

  3. パーマ、髪染めは当然厳禁。(注:最悪、停学の可能性あり)

  4. 基本、刈り上げが望ましい。

まぁ、ごくありふれたものではありますが、チェックの仕方がいやらしいのである。

上記1、2のチェック時に学年主任(以後、Y先生)は右手人差し指&中指で毛髪を挟み、指の間から毛が出ると「駄目だな」とバリトンボイス全開で宣言するのである。そして、「今日帰りに床屋に行って切ってこい。明日の朝一に職員室に来い」と追い打ちをかけるのである。

当時、刈り上げをしている男子はさすがに極小数派であり、オイラは絶対に嫌な人間だったので頭髪チェックの前日に極力短めに散髪していた。ところがである・・・。ある日、事態は急変したのであった。

中間だったか期末だったかは覚えていないのだけど、試験中だったことは間違いない。科目は古文。ちなみに現代国語と古文の先生は学年主任のY先生である。

試験が始まって10分ほど経った頃だったろうか。いきなり教室の扉を開けてぬっと入ってきたのは他ならぬY先生であった。クラスの空気が瞬時に3℃は下がった。するとY先生は例のバリトンボイスで徐にこう言った。

「試験問題に不具合は無いか?」

一瞬なんのことかわからなかったけど、つまり印刷ミスによる乱丁などは無いかという確認だったのだ。

なんの反応も無いことを確認したY先生は「大丈夫だな?」と念を押すと、そのまま教室を出て行くと思いきや、ズボンのポケットから通常は出てくるはずがない凶器を取り出した。“ハサミ”だった。そして、

「これから抜き打ちで頭髪チェックするぞ。
お前らは気にせず試験を続けろ」

気にせずに試験を続けられる猛者はおそらく誰一人いなかったはずである・・・。そして遂にオイラのところにY先生がやって来た・・・。

オイラはあの瞬間を生涯忘れることは無いだろう。

まずY先生はオイラの襟足をチェック。「よしっ!」という声が聞こえて安堵したのも束の間、サイドの髪をチェックし終わると「駄目だな」という声音とともに“チョッキン”という想像するだに恐ろしいな音が・・・。

そして、オイラの右モミアゲ部分の髪だけが見事な“テクノカットW”に変身。続いて例の「今日帰りに床屋に行って切ってこい。明日の朝一に職員室に来い」というセリフが無情に言い渡されたのだった。

「コノウラミハラサデオクベキカ」

そしてオイラは復讐を誓った。

帰宅するやいなや、いつも行く床屋に行くとオイラはオヤジさんにこう告げた。

「丸刈りにしてください。思いっ切り!」

そう。オイラは頭髪チェックに100%抵触しない“丸刈リータ”にしたのだ。そして翌日、朝一で職員室に向かった。

職員室の扉を“ズバゴーン”という勢いで開け、一直線にY先生へのもとへ。あの全生徒から恐れられているY先生の目が点になっているのを確認すると、オイラは心の中で快哉を叫んだ。

「さぁ、たっぷりと頭髪チェックしてもらおうか!」

こうしてオイラの復讐は見事成し遂げられたのであった。めでたしめでたし。

【後日談】
卒業式の謝恩会に出席した母が、このY先生と仲良くカラオケでデュオっている場面に遭遇した時のオイラの気持ちがおわかりだろうか?工工工工エエエエエエエエェェェェェェェェΣ(゜Д゜ノ)ノ

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