新中川アンダー ザ ブリッジ

これも例によって学生時代のバイト先でのエピソードでっす。(前回のエピソードはこちら)いつも閉店間際(午後11時)にやって来るかなり変わったおじさんがおりました。、もじゃもじゃ頭&無精髭&ヨレヨレでちょっと汚れ気味のジャケット&膝に穴の開いたスラックスをお召しになられており、極めつけは一年中着けているんぢゃなかろうかというマスクであります。

純白のマスクがキャラメル色になっておりました・・・。しかも、3年間ここでバイトをしていて、何度もこのおじさんとは対峙しているのに遂に一度も声を聴いたことが無い・・・。

初めてこのおじさんがやって来た時、オイラはレジ横にスタンバっていたんですが、おじさんはするする近づいて来るや否やタバコの展示ケースをコツコツと叩き始めました。「な、何?」とビビっているとやっぱり無言のまま展示ケースをコツコツ叩くのであります。

どうやら“ショートピース”をご所望らしく、「え、ええとショートピースですか?」とオイラが尋ねるとおじさんはコクコクとうなずくのでありました。

で、おじさんの買い物はいつも大体“ショートピース”で、ごくたまに食パンを一斤買われるか、もしくは何も買わずに帰ってしまうという実にリズムを取りづらいお客さんなのでございます。

ですがある時、やはり閉店間際にやって来たおじさんは、なぜか両手に持てるだけのビール瓶を持ってきて、いきなりレジ台に置くとオイラをジッと凝視するのであります・・・。訳がわからずまたまたビビっていると、ビール瓶をコツコツと叩き始めるのです・・・。そこでようやくオイラも思い至り、「あ・・・換金ですか?」と尋ねると例によってコクコクとうなずくのでした。当時ビール瓶は1本当り10円で換金していましたから、タバコ銭くらいにはなったかもしれません。

余りにも濃いキャラと寡黙さから謎が謎を呼び、社長をはじめ社員、バイト仲間の間で“実は大富豪”、“実は大学教授”、“実は大企業の会長”、“実はマッドサイエンティスト”などなど様々な憶測が飛び交っておりました。

でもある時、オイラは街中でこのおじさんがボロボロのチャリンコに乗っているところを発見し、いけないとは思いつつ尾行。そしておじさんの正体が明らかになったのであります。

今風に言えば“荒川アンダー ザ ブリッジW”な方なのでした。実際には“新中川アンダー ザ ブリッジ”でしたけど・・・。今頃どうしているのかなぁ・・・。

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