“Dee”~愛らしい小品に込められたあるギタリストの想い

楽器を、特にクラシック・ギターを探しに来られたお客様から「ちょっと弾いてみてくれませんか?」と頼まれることがしばしばあり、でもオイラは基本的にフラメンコ野郎なのであまりクラシックを弾かず、というかあまり弾けず、かと言ってクラシック・ギターでフラメンコを演奏するのは危険だし(傷つく可能性があるため)、ちょっとした小品、例えば「ロマンス(禁じられた遊び)」とか、フランシスコ・タレガWの「アルハンブラの想い出」のような有名曲を弾くことが多いです。でもたまに“Dee”というとても愛らしい小品を弾くことがあります。

「それ凄くきれいな曲ですね。なんていう曲ですか?」

と、ほぼ100%の確率で訊ねられます。

実はこの作品。Randy Rhoads(ランディ・ローズW)というロック・ギタリストが書いた作品で、ロックをやっている方だったらほぼ100%知っている曲かもしれませんね。

ハード・ロックやヘヴィ・メタルに傾倒していた頃、ランディはオイラにとってアイドルでした。ルックスといい、ヘヴィかつタイトなリフといい、そしてクラシックを彷彿とさせるメロディアスで美しいギターソロにすっかり心を奪われてしまったのでした。

しかし、1982年3月19日。ランディは遊覧飛行中の軽飛行機の墜落事故により還らぬ人となりました。享年25歳。あまりにも早過ぎる死に世界中のファンが慟哭。死後28年を経た現在でも、“好きなロック・ギタリスト・ランキング”の上位に必ず入るほどカリスマ的存在のギタリストでした。

とりわけ、ランディに対しては溺愛に近い感情を持っていた”Ozzy” Osbourne(オジー・オズボーンW)の嘆きは尋常でなかったのは有名な話です。

この“Dee”という作品は、ランディの死から5年後に発表された“トリビュート~ランディ・ローズに捧ぐ”というオジー&ランディの黄金期のライヴを収めたアルバムに収録されています。オジーの鬼気迫るヴォーカルとランディの素晴らしいギタープレイを堪能できる名盤です。“Dee”のみスタジオ・テイクで、もちろん未発表音源!ランディの肉声も収録されていて、ファンにとっては大変貴重な音源です。

アコギ、しかもフィンガー・ピッキングで演奏されていて、どことなくバロック風な美しい作品です。アルバムが発売された当初はオイラもそうですが、みんなこぞって耳コピしたものです。

なぜランディは未発表とはいえこの作品を録音したのでしょうか?アコギで演奏してはいますが、どう聴いてもクラシック作品としか思えません。生前残された写真と親族の方による証言にヒントがあります。まずは下の写真をご覧あれ。

ランディ・ローズ

なんと、クラシック・ギターを手にしたランディの写真です。ランディは晩年、本気でクラシック・ギタリストへの転向を考えていたのだそうです。この写真はそれを裏付けるものであります。

またランディはその頃、楽屋ではエレキ・ギターを一切弾かず、ひたすらクラシック・ギターの練習をしていたそうです。ランディの楽屋での様子を写した有名な写真(残念ながら見つからず・・・)には、Matteo Carcassi(マッテオ・カルカッシW)の有名な“25 Études mélodiques et progressives Op.60 (25の練習曲作品60)”を弾いているランディが写っています。

また、“Diary of a Madman(ダイアリー・オブ・ア・マッドマン)”というアルバムでは、Leo Brouwer(レオ・ブローウェルW)の有名な“Études Simples(シンプル・エチュード集)”から第6番を取り入れています。この事実を以てしても、いかにランディがクラシック・ギターに思い入れがあったか窺い知れます。

“Dee”を聴くたび、また弾くたびにランディがこの曲に託した自身の未来への想いが込もっているようで切なくなります。運命というのは本当に残酷です。

名作「Crazy Train(クレイジー・トレイン)」のライヴ映像です。今観ても感涙モノのカッコよさ!いいなぁ・・・。

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ランディ・ローズのファンで“Dee”を録音もされているクラシック・ギタリスト、東 隆幸さんの演奏をどうぞ。とっても美しい演奏です。

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あぁ、ランディ・・・。

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  1. クラシックギタリストを夢見たロックギタリストがいたとは。
    みんな近親の楽器に憧れるんでしょうか。
    Paseo de Graciaではビセンテが2曲もエレキギターをちょっぴり弾いているし・・。

    それにしても彼の果たせなかった夢がこんな美しい小品になって残っているのは
    なんとも切ないですね。もちろん泣いてもいいですよ!(^^)

    あ、でも余談ですが、わが師A先生はバンドネオンに憧れていました(笑)
    ギターを弾いていると音が持続する楽器に憧れるんですって・・・。

    • Luzia
    • 2010年 10月 30日

    @Angelitaさん
    ロック・ギタリストからクラシック・ギタリストへ転身した人は多分いないかと。(いるのかなぁ?)もし、ランディが生きていたらその可能性はあったかもしれませんね。

    >ギターを弾いていると音が持続する楽器に憧れるんですって・・・。
    これはスゴク良くわかります。エレキ・ギターでは可能ですけど、生ギターは音を出した瞬間から減衰していきますからね。それがまた良かったりするわけですが・・・。

    バンドネオンはものすごぉ~~~~~~~~~~~~く難しい楽器です。

    • じんじん
    • 2011年 8月 5日

    ハイホー!

    私も「ランディローズに捧ぐ」買って持っておりまする。
    車で聞いているのでDeeはパスする事が多く……..

    これはLuziaさんに土下寝せねば(爆)。

    ライブ映像、カッコいいなぁ~~~~。
    絵になるギタリスト。

    楽器の抱え方というか扱い方が全然違いますね。

    体の一部でもあり表現の道具でもあり。

    楽器と一緒にグルーブしているのを見るたびに羨望のまなざし。

    うすうす判ってはいたけど、Ozzyも凄いヴォーカリストっす。

    ぐっと最近になりますがレッチリのライブDVDを見て
    ベーシストにブッ飛びましたよん。

    はぁぁぁぁやっぱりバンド演りたいなぁ。

    • Luzia
    • 2011年 8月 5日

    @じんじんさん
    ランディはルックスもイケメンだし、キャッチーだし、凄腕だし、当時のギターキッズの憧れでしたね。オジーさんが惚れ込んだのもわかる気がしまっす。

    あぁ、レッチリもいいっすね。久しぶりに聴いてみよ。

    • じんじん
    • 2011年 8月 6日

    >ロック・ギタリストからクラシック・ギタリストへ転身した人は多分いないかと

    クラシックぢゃないけど、リッチー・ブラックモアは美人の奥さんをゲットし

    アコースティックに転身しておりまする。

    私としてはパープル時代の、あの狂気にかられたかのようなプレイを見たいんですが。

    • Luzia
    • 2011年 8月 7日

    @じんじんさん
    ブラックモアズ・ナイトでしたっけ?

    リッチーは深紫時代もバッハのブーレとか弾いていましたね。クラシックのフレーズをガンガン取り入れたのはリッチーが最初かも知れませんね。

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