憧れのスーパーカーから降り立ったのは・・・
オイラが小学校5、6年生の頃、週刊少年ジャンプ誌上にて池沢さとしW先生の名作「サーキットの狼W」が連載されていた。それにより、全国のガキンチョの間で自然発生的にスーパーカーW・ブームが到来したのであった。学校が終わるとクラスの男どもはカメラ片手に環七に直行し、“ロータス・ヨーロッパW”が通らないか目を皿のようにして延々と佇んだものである。ごく稀にロータス・ヨーロッパを目撃すると歓喜したものであった。
ベンツやBMWを目撃しただけでも、
“おおっ!ベンツだっ!ベンベー[1]だっ!”
と歓喜していたので当然、“ランボルギーニ・カウンタックW”などは夢のまた夢のスーパーカーであった。
そんな脳天気な毎日を送っていたある日。町内の子供会の催しで狭山湖に行った時だったと思う。実はあんまり記憶が定かではなく、ただ新宿駅南口から観光バスに乗ってどこかに行ったという曖昧なものである・・・。が、その南口での記憶は今なお鮮明である。
新宿駅南口前は甲州街道である。当時も現在も車の往来がとても多い大通りである。バス待ちのガキンチョがすることは一つである。
“スーパーカー探し”
である。
暫くの間、飢えた獣の如く大通りを仰視していると友人の某君が叫んだっ!
“あっ!ベンベーだっ!”
叫声にガキンチョ一同BMWに釘付けである。それはブラウンの何とも渋いBMWだった。するとそのBMWはなんとオイラ達の目の前で停車。一同固唾を飲み込んだまま棒立ちになっていると、後席から痩身の男性が降り立った。その男性を見てオイラ達は腰が抜けそうになった。それは誰あろう、
“いかりや長介Wさん”
だった。
当時はまだまだ“8時だョ!全員集合W”全盛時代であり、スーパーカー&芸能人を生で見た興奮で一同狂わんばかりであった。
勇気ある某友人がいかりやさんに、
“オッス!”
と声を掛けたが、あっさりスルー・・・。まぁ、当然であろう。
ベンツやBMWは現在では普通に見かけるけど、当時は意外に走っていなかった。また、街中で芸能人を見かけるということも当時はあまりあることではなかったと思う。今思えば、いい時代だったものよ・・・。
- 当時オイラ達はBMWのことをこう発音していた。 [戻る]
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