全人類的お宝必聴盤~Part14 “セレドニオ・ロメロ/バッハ、サンスを弾く”

J.S.Bach(ヨハン・セバスチャン・バッハ)が活躍したバロック時代にはギターという楽器は存在しておらず、もっぱらバッハも愛したリュートという楽器が撥弦楽器が使用されていました。ですから当然、バッハのギターのための作品は存在するわけなく、現在ギターで弾かれるバッハ作品は全てアレンジものであります。星の数ほど名作を残したバッハ。当時としては大変珍しかった無伴奏、つまり器楽ソロ作品の中でもとりわけ名作中の名作と言われるのが“Chaconne(シャコンヌW)”でございます。

これは“無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータW”という全6曲からなる歴史的名作であり、奇数番号がソナタ、偶数番号がパルティータなんですが、そのパルティータ第2番BWV1004の最終曲がシャコンヌであり、20分という大曲ということもあり単独で演奏されることもしばしばであり、20分という時間に集約された音の連なりはまさに人間の一生を凝縮したかのような濃い内容であり、ヴァイオリンの世界では長く“ヴァイオリニストの聖典”と称され、他の楽器で演奏されることはタブーとされた時代もあり、これを史上初、ギターで演奏したのがかのAndrés Segovia(アンドレス・セゴビアW)であり、発表当初は賛否両論であり、“ヴァイオリニストの聖典を汚す行為”と本気で言う人もいたわけで、が、今日においてはギターで弾かれるシャコンヌの美しさに異論を唱える方もいなくなり、クラシック・ギターの貴重なレパートリーとして定着しました。(ハァハァ・・・)

つまり、大変な名作なわけであります。時代は進み、バッハ作品のギターアレンジはヴァイオリンはおろか、チェロ、チェンバロ、オルガン、室内楽にいたるまでに及び、まさに百花繚乱であります。

が、多くの場合、原曲を聴いてしまうと×なことも多いわけで・・・。でも、ギターで演奏されたシャコンヌだけに限って言えば、オイラはこの録音以上のシャコンヌを聴いたことがございません。

“Celedonio Romero/Bach,Sanz-Recital
セレドニオ・ロメロW/バッハ、サンスを弾く)~1986年”

virtuoso

  1. J.S.Bach/Partita No.2(J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータNo.2 BWV1004)
  2. J.S.Bach/Suite No.3(J.S.バッハ/無伴奏チェロ組曲No.3 BWV1009)
  3. Gaspar Sanz/Suite Espagnola(ガスパル・サンス/スペイン組曲)

セレドニオ・ロメロと言っても知っている方の方が少ないかも知れませんね。でも、彼の息子達であるCelin Romero(セリン・ロメロ)、Pepe Romero(ペペ・ロメロW)、Angel Romero(アンヘル・ロメロ)はもはや巨匠クラスのクラシック・ギタリストとして大変有名です。

そんなセレドニオが晩年に録音したのがこのアルバムで、全曲息子ぺぺのアレンジで演奏しています。正直期待をせずに聴いたのですが、聴き終わった後に恥ずかしながら号泣してしまったのであった・・・。

当時としては珍しくパルティータを全曲録音しているのも特筆すべきことであります。が、特にシャコンヌの素晴らしさと言ったら筆舌に尽くしがたい。ぺぺ、アンヘルの演奏も聴きましたが、遙かに彼らの演奏を凌駕しています。(彼らも凄い演奏ですが・・・)

音の圧倒的な太さ、輝き、年齢を感じさせない技巧、とりわけスケール(音階)をあれだけ速く、美しく、流麗に、音楽的に演奏出来るとは・・・。これこそ真のヴィルトゥオーゾでございましょう。

オイラはこれ以降、ギターで演奏されるバッハのシャコンヌはセレドニオの演奏を底本に聴く癖がついてしまい、2010年現在未だにこれ以上のシャコンヌを聴いたことがないのでございます。

これだけの名手でありながらセレドニオは決して自分が前に出ることなく、息子達を陰から支えることに徹したのであります。そして息子達、そして孫達はセレドニオに今でも最大の賛辞を送っているのもうなずけます。

隠れた名手セレドニオ。オイラも大変尊敬しております。

ロメロ四重奏団による貴重な動画です。演奏曲はGerónimo Giménez(ヘロニモ・ヒメネス)の有名なサルスエラW作品、“El Baile de Luis Alonso(ルイス・アロンソの舞踏会”から。向かって左からセリン、アンヘル、ぺぺ、セレドニオです。

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Bach/Sanz-Recital Guitare

Bach/Sanz-Recital Guitareミュージック

アーティストCeledonio Romero

発行(unknown)

発売日1970/01/31

カテゴリーCD

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    • 染谷 正雄
    • 2018年 6月 28日

    いやあ、やはりいらっしゃいましたぁ!私も常々セレドニオのシャコンヌを、高く高く評価し続けてまいりましたが、やっと同朋に巡り会えました。このCDを聞いていらっしゃる方がそれ程多くないせいか、私の廻りには一人も居りませんでした。
    ギターにおけるシャコンヌの最高峰と信じます!

    セレドニオのCDはもう一枚持っていました(持っていました…というのは現在どこにあるのか捜索中という意味です)が、ソルの曲を弾いていましたが、こちらはそうでもなかったのが残念でしたが(とはいえ、そこらの奏者とは格が違う)。

    タイムスタンプを見ると2010年ですね。8年越しの夢でした。

    • Luzia
    • 2018年 6月 28日

    @染谷 正雄様
    コメントをいただき誠にありがとうございます!

    ワタクシの方こそマエストロ、セレドニオ・ロメロの“シャコンヌ”を素晴らしさを共有出来る方にお会いできて大変嬉しゅうございます。2018年現在でもワタクシ的には未だマエストロを超えるギターでの“シャコンヌ”は聴けていません・・・。

    今でもストリーミング、MP3、CDで入手可能ですので、是非多くの方に聴いていただきたいですね。

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