音を聴くということは音の心を聴くこと

ギターを始めて随分長い年月が経った。一向に上達しないのは僕に才能が無いからであり、こればかりはどうしようもない。そんな状態でも止めずに弾き続けているのはやっぱり音楽が好きだからなんでしょうね。ギターという楽器はソロも伴奏もOKだし、どんなジャンルの音楽を弾いてもハマってしまう。それは実に楽しい瞬間の連続ではあるのだけど、漠然と弾いていると時として独りよがりな演奏になってしまうことがあります。

そんな状況に陥った時、自分を戒めるために必ず読む本があります。“佐藤貞樹・著/高橋竹山に聴く-津軽から世界へ”という聴き書き集です。

高橋竹山先生のことはこれまでにも何度か書きましたが、この本には音楽を聴き、楽器を演奏するために指針とすべき珠玉の名言がぎっしり詰まっています。少なくとも僕にとってはこれ以上はないバイブルです。

初めてこの本を読んだ時に衝撃を受けたのが第五章でした。今日のブログタイトルがそれです。その中の一節をご紹介しましょう。

私がひとり勝手に弾いても三味線は音を出してくれません。私が音を出すのではなく、三味線が音を出すのですから、結局は三味線と私との相談です。なだめたり、すかしたり、叱ったり、だましたり。そうやって三味線といっしょに音をつくってきたように思います。

その音に耳をすまします。音を聞くということは、その音の心を聴くことでしょう。三味線の心を知り理解することなのです。聴く耳を持たなければ生きた音はつくれません。心のない音は、たとえきれいな、まちがいのない音であっても面白くありません。反対に、下手でも心がこもっていれば、なるほどという音にはなります。

まさに至言であります。

職業柄、様々な器楽奏者の演奏を聴く機会があるのですが、特に最近の若い演奏家は素晴らしいとは思います。ミスなく演奏するのはほとんど当たり前ですし、コンクールを拝見させていただくとそれは顕著であります。

ただ残念ながら“上手いなぁ”というより“巧いなぁ”という感想しか持ち得ないのも事実です。更に辛辣な感想を述べれば、彼ら凄腕たちからは“一体何を表現したいのか?”という疑問しか湧かないのであります。

音楽界の現状を見ると、いわゆる大巨匠と呼ばれる演奏家が本当に少なくなりました。残念なことですが、ここ近年になってこのままではイカンということでコンクールの審査や音大入試などはかなり厳しくなっていると聞きます。

是非この名著を座右に置いていただきたいと思う今日この頃です。

1976年、宵々山コンサートで演奏された即興曲”岩木”のライブ音源です。溜息しか出ません・・・。

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Luzia

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趣味:フラメンコ・ギター演奏

得意技:土下寝、妄想、迷走、酒池肉林

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