ギターにまつわる信じられないお話Part.2

以前、“ギターにまつわる信じられないお話”という文字どおり信じられない話を書きましたが、自分も愛用していたことがある“コンデ・エルマノス”に関してはもう一つ信じられない状態の楽器を見たことがございます。本当はコンデのことを悪く書きたくないのだけど、とても良い楽器だった時代(特に1970年代)と現在の楽器はまるで別物のようになってしまったのが残念でなりませぬ。

現在でもコンデ・エルマノスはフラメンコ・ギターの世界ではビッグネームであります。それはPaco De Lucia(パコ・デ・ルシア)をはじめ、世界に名だたるギタリスタが使用しているからに他ならなぬわけですが、ここ近年の急激な質の低下は目に余るのも事実でございます。

前回は裏板にあった木の節が取れてしまった話を書きましたが、今回の話しも通常では有り得ないものでございます。プロの製作家が作った楽器とは思えぬ酷いものでございました。

お話をわかりやすくするため、以後下の楽器写真をご参照下さい。(写真はWikipediaより借用)

ギターのパーツ

ある日、コンデ・エルマノスの修理依頼があり直接お客人が楽器を持って来られました。まず楽器を拝見してクリビツ。ブリッジ(写真12の部分)を無理やり剥がしたような傷跡が表板にザックリと残っていて、その上へ強引に塗装がしてありました。実に痛々しい・・・。

「これはどうしたのですか?」とお客人にお聞きすると、「実際の位置よりも下にブリッジが貼られていたので、直してもらいました」と仰る。

ちょっと補足をいたします。一般的なクラシック・ギターやフラメンコ・ギターはブリッジの骨棒(写真19の部分)からナット(写真2の部分)までの弦長が650mmです。660mm、645mm、640mm、630mmなどもありますが、問題は弦長に対するフレット(写真4の部分。クラシック・ギターやフラメンコ・ギターは通常19フレットまであります)の間の比率であります。

調べてみるとこのコンデ・エルマノスは弦長650mmを想定したフレット間の比率(業界ではフレッチングと言います)になっているのに、ブリッジを貼る位置が本来張るべき位置よりも下に貼られていたのでした。そうなるとどうなるか?

“永遠にチューニングが合いません・・・”

いや実際は開放弦では合いますが、押弦すると当然音がズレてしまいます。

このお客人の場合、3重の不幸がこの楽器に降りかかっております。前述のとおり“ブリッジを貼る位置のミス”“その修復がメチャクチャ”、そしてこのコンデ・エルマノスが幾つかあるモデルの中でも“最高級品”だということです。(値段は書けませんが、7桁です。信じられますか?)

せめてブリッジの修復が綺麗に行われていれば救いはあったんですがねぇ・・・。

プロの製作家としてブリッジを貼る位置をミスるのはかなり恥ずかしい事ですし、それを修復した修理先(どこかはわからないのですが・・・)はハッキリ言って素人仕事でございます。

日本人製作家のギターではこのようなことはまず起こり得ません。国民性もあると思うのですが、真面目な製作家が多く下手な楽器はまず作りません。

対して海外の製作家は名前や価格が全くアテにならないのであります。ここが一番怖いところですね。例えば「パコが使っているからっ!」みたいな楽器の選び方をすると後で痛い目に遭う場合も多々あります。

では失敗しない楽器の選び方とは?

自分のフィーリングに一番合った楽器を選ぶのが良いです。それが間違いなく良い楽器だったとしても、好きな音じゃなかったらやっぱりダメなんですね。必ず飽きてしまいます。

でも、最近はほんと良い楽器が少なくなりました。本場スペインでもなかなか良い楽器がないのは残念・・・。

と、今日は滅多に無い真面目モードでございました。

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