生涯現役について

20代の頃は年間100回ほど演奏会をしていました。30代半ばになったら第一線から退き始めるべきだと思います。若いギタリストにできるだけ席を譲り、若い作曲家に新作発表の場を提供する努力をしてきました。高齢化社会となった日本では“生涯現役”をやたら礼賛する傾向がありますが、若者に譲るべきところは譲っていかなければ社会全体が年老いてしまいます。


これは僕が敬愛するクラシック・ギタリストである山下和仁Wさんが某雑誌のインタビューで述べられたことです。これを初めて読んだ時はショックでした・・・。言わんとしていることはわからないでもないのだけど、正直言ってあまり賛同出来なかった記憶があります。

例えば演奏家ならば目標とする偉大な方がいるからこそ、より若い世代はそれを指標にして切磋琢磨するわけであり、ひいてはそれが更なる若い世代の活性化に繋がると思うのだけどなぁ・・・。まぁ、人それぞれ考え方が違うのでしょうがないのだけど・・・。

ただ山下さんの場合、これまで行なってきた演奏活動、録音活動が並の音楽家の何倍もの量なのは確かなのでそういう気持ちになってしまうのかも。僕自身としてはまだまだ山下さんの演奏を聴きたいっ!

対照的なのが、29日に老衰のためご逝去された映画監督の新藤兼人Wさんですね。2010年のインタビューで「できれば、ヨーイ、ハイと言ったところで、ばたっと倒れたい」と仰っしゃられています。最後の作品が2011年に公開された“一枚のハガキ”[1]でした。この時は99歳だったわけで、まさに“生涯現役”。素晴らしいことだと、そして羨ましいと素直に思います。

と書いておきながら新藤監督作品はほとんど観ていないというワタクシですが、1977年公開の“竹山ひとり旅”という作品は観ました。僕の最も敬愛する演奏家である高橋竹山先生の半生を描いた傑作です。

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普通ならば暗く地味になりがちなテーマなのですが、そこはかとなくユーモアが漂い、生きることの厳しさや悲哀を見事に描いております。

思えば高橋竹山先生も生涯現役を貫いた方でしたね。

竹山ひとり旅 [DVD]

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監督新藤兼人

出演林隆三, 倍賞美津子, 佐藤慶, 乙羽信子

発行角川書店

カテゴリーDVD

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    • じんじん
    • 2012年 6月 1日

    私もLuziaさんに賛成です。

    まぁギタリストとして世に出るなんて、とっくの昔に諦めましたが(爆)。
    何の気なしに始めた声楽にどっぷりとハマり、バンドのボーカルとしても
    独唱者としても「まだまだこれから」でありたいと思います。

    バンドの方はメンツもおらんし、主導権取ってメンバー集めようとも思わないんですが
    独唱の機会は、い~~~っぱい欲しいです。

    壮年となってしまった現在、どこかの大会にエントリーなど無理ですので
    細々とでもいいから自分で企画・開催しないと、歌う機会がありません。

    なので「若いもんに機会を譲るだぁ?冗談ぢゃねぇぜ!」でごぜえやす。

    • Luzia
    • 2012年 6月 1日

    @じんじんさん
    僕は未だパコ・デ・ルシアの幻影を追いかけている状態でありまして、追いつくどころかますます離れていってしまう昨今。悲しい現実であります。(号泣)

    歳を取るとモチベーションを保つのが難しい・・・ですね。でも、僕も「へっ!まだまだ若ぇもんには負けねぇぞ、おらっ!」というキモチで老体に鞭打っております。鞭打ち過ぎて腰が痛いのですが・・・。

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