真夏のミステリー~その謎は本人のみが知る

一昨年も嫌になるほど猛暑日が続いたけれど、今年は既にその猛暑日数が一昨年の記録を抜いたといふ・・・。はぁ~・・・。こんな時は怪談やらミステリー話で少しでも涼しくなれたらええなと思っていたら、店のレンタルスタジオからある曲が流れてきた。ミステリアスな作品として結構有名な作品で、古くからギターアレンジで演奏もされている作品である。それは・・・。

“François Couperin(フランソワ・クープランW)/Second livre de pièces de clavecin(クラヴサン曲集第2巻)~Ordre 6ème(第6組曲)”の第5曲目“Les Baricades Mistérieuses”という曲である。つーか、長ぇっ!

さて、この曲は日本では“神秘的なバリケード”、“神秘のバリケード”、“神秘的な障壁”、“神秘の障壁”、“神秘の防壁”、“神秘の壁”などなどなどなど様々な訳があってそれこそ神秘的である。

クープランに限らず、当時のフランス・バロック作品は変わったタイトルが多いねぇ。で、クープランのこの作品のタイトルの解釈は諸説あってよく解らぬ。

説1:男性の思いを受け入れてくれない女性との関係を表現。
説2:侵しがたい女性の気品を表現。
説2:神秘的な和音の流れを表現。

など。

エゲレスの音楽学者Wilfrid Mellers(ウィルフリッド・メラーズ)氏の説はより音楽的である。

説4:継続的な掛留音[1]がハーモニーを妨げている。

つまり、妨げている=バリケード、障壁、防壁ということなんぢゃないかということね。いずれにしても、真意はクープラン本人しかわからん。

謎は謎であるから楽しいのである。そんなこととは関係なく、この曲は実に美しい。それでええやないか。

さて、チェンバロ原曲はB♭major(変ロ長調)で、上段&下段ともにヘ音記号で表記されちょる。

原曲

んで、冒頭にも書いたけどアルペジョ主体の作品ということもあって、古くからギターソロにアレンジされて演奏もされちょる。ギターの場合、原調のB♭major(変ロ長調)は無理があるので、D major(ニ長調)やC major(ハ長調)移調するのが一般的だけど、ごく最近のものでは佐藤弘和さんの実に見事なアレンジに感動。

佐藤さんはG major(ト長調)でアレンジされているんだけど、⑥=D&①=Dという変則チューニングを使用しておらるる。

佐藤弘和さんによるアレンジ

①=Dっていうのがミソ。倍音の鳴り方が変わるし、カポタストを3フレット目に装着して演奏すれば原調で演奏することも可能になる。素晴らしいっ!

全然ミステリアスな内容ぢゃなかったね。何かしら期待しておられた方ごみんなさい。というわけで“Les Baricades Mistérieuses”をお聴きなされたし。

Scott Ross(スコット・ロスW)のチェンバロ演奏。(音源のみ)

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David Russell(ディヴィット・ラッセル) のC major(ハ長調)のアレンジによる演奏。(音源のみ)

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Miguel Yisrael(ミゲル・イスラエル)のバロック・リュートによる演奏。(音源のみ)

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  1. ある和音における特定の音を次の和音の冒頭部まで残し、強拍上に不協和な緊張状態を作る手法でっす。 [戻る]
    • RainDrop
    • 2015年 8月 23日

    曲の分析が非常に興味深かったです。ありがとうございます。

    私はYouTubeへの投稿を趣味のひとつとしていまして、この曲をアップロードしたばかりでした。素晴しい曲だと思います。

    その際、この曲の情報を検索して貴下のブログに行き着き、「ほ~!なるほど!」と思わされてしまいました。(^^ゞ

    いろいろな演奏のご紹介もありがとうございます。ついつい聴きほれてしまいました。(^^ゞ

    私がアップロードしたのは、トレヴァー・ピノック盤です。個人的お気に入りです。
    https://www.youtube.com/watch?v=7tWsDFYO0Y8

    それではどうもありがとうございました。

    • Luzia
    • 2015年 8月 23日

    @RainDrop様
    コメントをいただきありがとうございました。

    ワタクシがこの曲を初めて知ったのはギターでの演奏でした。音型がギターでも弾きやすいため、かなり昔から様々なギタリストがギターソロにアレンジしています。

    トレヴァー・ピノックの演奏はさすがですね。原曲のチェンバロで聴くのが一番シックリきます。

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