上の写真はFrancisco Tárrega(フランシスコ・タレガW)が友人のイギリス人医師、Walter Leckie(ウォルター・レッキー)[1]に贈った手稿譜をまとめたもので、表装から通称“青の本”、“赤の本”と呼ばれる幻の本でございまっす。
写真向かって左がレッキー医師。
ここ最近のギター楽譜関係の事件(?)と言ったら、この“青の本”と“赤の本”をエゲレスのBrian Whitehouse(ブライアン・ホワイトハウス)が複製した、“The Tárrega-Leckie Guitar Manuscripts(タレガ/レッキー ギター手稿譜)”の出版でござろう。
収録されている手稿譜は以下のとおりでござんす。
【青の本】
タレガ/プレリュード、イラディエール/ラ・パロマ、ベッリーニ/海賊のテーマ、ボイト/メフィストフェーレの旋律、ハイドン/メヌエット、チュエカ/ラトスのホタ(グランビア)、アリエッタ/セギディーリャとマリーナのタンゴ、ヴェルディ/椿姫のテーマによる幻想曲(改訂版)、パガニーニ/ヴェニスの謝肉祭の主題による変奏曲、メンデルスゾーン/無言歌、タレガ/マリア(タンゴ)、アルマグロ/愛の歌、シャピー(チャピ)/ムーア風セレナーデ、アルベニス/パバーナ、シューベルト/別れ、ショパン/ノクターン(部分)
【赤の本】
ワーグナーの主題による練習曲、タレガ/トレモロ(練習曲)、タレガ/プレリュード、タレガ/プレリュード、ショパン/ノクターン、タレガ/スペイン幻想曲への序奏、タレガ/ショパンのノクターンのカデンツァ、ショパン/ワルツ・レント、R.シドニー・プラッテン夫人作曲のルチア(ドニゼッティ)の主題によるファンタジア、マラッツ/スペイン風モチーフ(セレナータ)、ワーグナー/タンホイザーのマーチ、アルベニス/グラナダ・セレナータ、ヴェルディ/シチリアの晩祷、タレガ/ワルツ「二人の姉妹」、タレガ/プレリュード(悪魔の塔からの眺め)、ショパン/プレリュード、シューマン/ロマンス、バッハ~グノー/瞑想曲、マンホン/春、シドニー・プラッテン夫人/猟師
編曲ものが多いでっすね。今回日の目を見たこれら手稿譜の中で、とりわけ目玉なのは演奏や録音も多い人気曲である、Giuseppe Verdi(ジュゼッペ・ヴェルディW)のオペラ“La traviata(椿姫)”の中から有名な旋律を繋げて幻想曲に仕上げた、“Fantasía sobre motivos de la Traviata(椿姫のテーマによる幻想曲)”の改訂版でござる。
この作品は元々はタレガの先生であったJulián Arcas(フリアン・アルカス 1832-1882)の作品にタレガが手を加えたため、永らくタレガ作品と言われてきました。
朴葵姫(パク・キュヒ)さんのアルカス版による演奏動画。
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この作品は“Sempre libera(花から花へ)”で締めくくられるのでありんすが、今回の手稿譜には出版譜にはない“Ah, fors’è lui(ああ、そは彼の人か)”がその直前に挿まれておるのでありんす。
<“ああ、そは彼の人か”の冒頭部分>
Maria Callas(マリア・カラスW)による原曲の“ああ、そは彼の人か”~“花から花へ”の歌唱音源。
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手稿譜に記されている肉筆は一部を除いてタレガとレッキー医師の肉筆でござんす。ちなみにこの本は¥30,000近い金額なのでありんすが、貴重なタレガの手稿譜をたくさん見られるのであれば決して高くはござらぬであろう。しかも、原文の英語の他、、スペイン語訳、日本語訳付だし!
こういった本はある時に購入しないと後で後悔するざんす。
- タレガの弟子でパトロンでもあったそうでっす。 [戻る]
いや、高い。
身の丈にあいません。
絶対つかいこなせません。
Luziaさんのブログに頼る気満々です。
これはすごくいい記事なので、何度も見に来ますね。
@カステラミルクさん
確かに高いです・・・。うちのお店ではそれでも現時点で7冊!売れました。
布張りのハードカバー本なのですが、表紙のカバーがちょっと薄い紙なので昔懐かしいLPレコード用のビニールカバーに入れて平積みにしたのですが、それだと中身が見られないので、サンプルとして見られるようにオイラが一冊自腹を切りました・・・。金欠です・・・。